健康ニュース 1月15日号 体を冷やす食べ物?

     

 「この果物は体を冷やします」とか、「この野菜は体を温めるます」ということをよく耳にします。中には、「本来は体を冷やす類だが、調理によっては温めることもある」というような説明もあり、余計に分かりにくくなっています。

「根菜類は体を温め、葉物野菜は体を冷やす」 「南国の果物は体を冷やすが、寒い地域の果物は体を温める」この説はメディアでも良く使っており、広く知られているようです。

ジャガイモは代表的根菜類で、日本人が最も食べているイモ類ですが、このジャガイモはどんな資料類を見ても、体を冷やす側に分けられています。例外とは言えあまりにも都合の良い分類と思います。

科学の発達した今、暖かい時期や温暖の地域でしか育たなかった野菜や果物、寒冷地域でしか収穫できなかった野菜などが、いつでもどこでも手軽に手に入り、食生活を豊かにしてくれるという夢のような時代になっています。

そんな時代を迎えたからこそ、食べ物が体を冷やすとか温めるということについて見直しても良いのではないでしょうか。

専門家、研究家の発表を待ちたいと思いますが・・・。

この類の質問は講演会などでもよく出ます。その際、私見として説明、解説させていただいていることを書いてみます。

同じサイズのコップに、一つは熱湯をたっぷり入れてください。もう一つのコップには同じ熱湯を半分だけ入れてください。

10分位経過後、どちらのコップの水温が下がっていますか、という実験をやってみます。明らかに熱湯を半分しか入れていないコップの方が温度は下がっています。

この実験と野菜などが体を冷やす、温めるということと関係があると考えられませんか。

食べ物には、動物性、植物性を問わずミネラル成分が含まれています。その中でも体の冷え、温めと関連する代表的な成分は、カリウムとナトリウムではないでしょうか。

カリウムには発汗作用を促し、代謝酵素の働きを抑制し体温の上昇を抑えます。結果からだを冷やすということになります。

コップに入れcた熱湯、どちらが早く温度が下がったかという実験は、体内に含有する水分に置き換えることができないでしょうか。水分量が少ないと温度も体温も下がります。

つまり体内の水分が少ないと体は冷えるのです。カリウムが多い食べ物を摂ると、体内水分が減るので体を冷やす、また冷えた感じがする、と言えます。

つまり根菜類か葉物かは関係なく、産地が北か南かも問うことなく、カリウムが多いか、ナトリウムが多いかを見て、体を冷やす、冷やさないかを判断できないかということです。

こうように考えた時、寒い地域で実るけれども、リンゴはカリウムが多いので体を冷やします、という理屈は合います。またジャガイモなどのイモ類は、根菜類だけれどもカリウムが多いので体を冷やしますから食べ過ぎには注意しましょう、という説明だと誰もが納得できるのではないでしょうか。

食生活に関するグループの中には、食材を陰陽とか中庸に分類し、健康と関連付けています。それぞれの主張は尊重しますが、ことさら覚えるのに努力が必要な分類方法はいかがなものでしょうか。食はもっと簡単に楽しむべきです。科学的分析結果をもって、食事の持つ意味を説いても良い時代になっていると考えます。