健康ニュース 7月15日号 夏の脳卒中の怖さ!

     

今の時期、健康問題といえば、「熱中症」ということに異論のある方は少ないことでしょう。

「気温が高くなる」という気象予報のある日は、どこかで必ず熱中症のニュースが流れます。6月~8月の時期は脳卒中、特に脳梗塞が一年中で最も多く発症する時期でもあります。

そこで「脳卒中」という文字を分解して考えてみました。「脳」は文字通り「脳」ですが「卒中」とはどういう意味があるのでしょうか?

「卒」の意味を講演などでおたずねしますと、「卒業の卒」と言われる方が多いです。脳が卒業するということは、「脳死」を意味しますから問題外です。脳が卒業して良いですか?と言ってきたら大きな声で{ノー、ノー!}と言いましょう!この場合の「卒」は突然とか前触れもなくという意味です。卒倒するという場合の「卒」です。

「中」はどんな意味と考えますか?この場合の「中」は「中(あたる)」という意味で、「食中り(食あたり)」などと同意語です。

「中る」とは体に障るという意味と考えてよいでしょう。広辞苑などには「毒気、悪気の害を身に受ける」とあります。

従って「脳卒中」とは「脳が突然障る状態になる」という意味と理解しても間違いではありません。

ただ近年、脳卒中学会では、脳卒中にはいくつかの前兆症状があると言われています。前兆を知っておくことも大切です。

さて、脳の血管が切れるとか詰まったりする脳卒中は年間約29万人になるということを発表した研究チームがあります。その論文には、年間約22万人が初めて脳卒中になり、残り約7万人は再発とあります。人口動態統計によりますと、脳卒中を原因とする死亡者はおよそ12万人ですから、脳卒中死亡者の約2・4倍の発症者がいるということになります。

年齢からみると高齢者と言われる世代(65歳以上)で発症件数の半数近くを占めています。

ただ前述のように6月~8月は、たとえ血圧が正常範囲であっても熱中症が引き金となって脳卒中になりかねないことを知っておきましょう。この時期は発汗などにより体内の水分量が減り、いわゆる血液がドロドロ状態になりがちです。この体内の水分状況が血管内で血栓を詰まらせ脳卒中の引き金となるのです。

専門医は次のように述べています。「この時期に脳卒中にならないようにするには、①こまめな水分補給を行うこと。②夜の大量な飲酒は避けること。アルコール分を分解するために大量の水分を使用。結果として体内の水分量が少なくなってしまいます。③就眠1時間ぐらい前にコップ1杯の水分を摂ること。就眠直前の水分補給は、夜間のトイレの回数が増えますので注意しましょう。④冷房は適温で使用すること」

専門医は「夏血栓」と称して、熱中症とそっくりの症状に加え、顔や腕にマヒに近い症状とか、水分補給が上手くできないという場合は、夏の脳卒中(脳梗塞)を疑うべき、と言っております。このような場合は、一刻も早く専門医に診てもらうことが大切で、素人判断は時と場合によっては危険ということを理解しておきたいです。近づく猛暑を健康に乗り切りましょう!