SCIEX×雑賀「食物アレルゲン一斉分析法」開発

      執筆者:motoe

SCIEXは、雑賀(サイカ)技術研究所(所在地:和歌山市)と共同で複数の食物アレルゲンを一度に検査する「食物アレルゲン一斉分析法」を開発した。雑賀技術研究所は、現在では一般的となった残留農薬の一斉分析サービスを国内で初めて開始するなど、新規技術開発に力を入れているが、同分析法の開発は、SCIEX質量分析計「SCIEX QTRAP® 5500システム」および 、本装置のパワーと頑健性を活用したSCIEXのアレルゲン分析メソッド「vMethod Application for Multiple Allergen Screen in Food Matrices using LC-MS/MS v1.0」、「vMethod Application for Gluten Quantitation in Food Matrices using LC-MS/MS」を利用して行ったもの。今回、加工食品のシチューを対象に検証した結果、特定原材料7品目(乳・卵・小麦・落花生・そば・えび(かに))を一度に検査できることを確認。(日本食品化学学会第25回総会・学術大会にてポスター発表:2019年6月)。今後、様々な食品にて本分析法の妥当性を確認し、将来的に一度に分析できるアレルゲンの対象品目を「特定原材料に準ずるもの(20品目)」や分析手法が確立されていないマイナーアレルゲンに拡大していく予定という。食物アレルギーには完全な治療方法がなく、原因となるアレルゲンの摂取を回避することが最も有効な手段となる。そのため、正確なアレルゲンの表示こそがアレルギー患者にとって安心して食べるための重要な指標となる。食品表示法では「特定原材料」7品目の表示を義務付けるとともに、「特定原材料に準ずるもの」20品目については可能な限り表示するよう推奨されているが、表示違反による食品の回収事例は後を絶たない。表示違反の原因としては、記載漏れ、製造ミス、意図しないアレルゲンの混入、アレルゲン検査の誤判定などが挙げられが、現行のELISA法をはじめとする個別分析と比べ、 同分析法は複数のアレルゲンを一度に検査できるため意図しないアレルゲンの混入検査に適している、偽陽性・偽陰性のリスクが低いなどの理由から、より正確な食品表示につながるとしている。■問合わせ先:エービー・サイエックス/事業戦略推進本部(jp_sales@sciex.com