キリン「CDP」水セキュリティAリスト4年連続獲得
執筆者:shirai
キリンホールディングスは、環境情報開示システムを提供する国際的な非営利団体であるCDPにより、水セキュリティ「Aリスト」企業に選出され、2月3日に発表された。同社が水セキュリティで「Aリスト」企業に選出されるのは4年連続。また、気候変動においても先に「Aリスト」を獲得しており、2019年度は気候変動および水セキュリティの両方で「Aリスト企業」に選出された。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買企業の要請に基づき、企業や自治体に、気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題対策に関して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動としている非営利組織。2019年度は、運用資産規模で96兆米ドルに達する525強の機関投資家と購買力規模で3.6兆米ドルに達する125の購買企業がCDPの活動に賛同し、世界の時価総額50%強となる8,400強の企業と世界各地の920強の自治体がCDPを通じて環境問題対策に関する情報開示を行った。キリングループは、「キリングループ長期環境ビジョン」の中で、「生物資源」、「水資源」、「容器包装」、「地球温暖化」を重要な4つのテーマとして定めている。「水資源」については、製造事業所における高いレベルでの節水活動、使い終わった水をきれいにして自然に返す取り組み、業界に先駆けて始めた製造拠点のある水源地での森林活動などを積極的に進めている。さらに、地域や立地により「水リスク」が異なることから、2017年にはグローバルに展開している9カ国44カ所の主要製造事業所における立地流域の水リスク評価、2018年からは酒類・清涼飲料などの国内飲料会社のバリューチェーン上流における水リスク評価を行うなどして、長期的な視点で水リスクが経営に与える影響の把握にも努めており、2019年には同社の事業に関わる主要農産物産地における水リスクを検証し、事業戦略へ反映させるなど、取り組みを進化させている。また「水資源」に大きな影響を与える「地球温暖化」については、「2030年までに2015年比で、グループ全体のScope1とScope2の合計を30%、Scope3についても同じく30%削減する」という高い目標を掲げ、「SBTイニシアチブ」の承認を取得している。徹底した省エネ活動に加えて、燃料転換の実施、ヒートポンプの導入による電化へのシフト、太陽光発電、風力発電、水力発電、および排水処理設備から得られるバイオガスを利用したバイオマス発電などの再生可能エネルギーの活用、容器軽量化や共同配送を含むバリューチェーンでのCO2削減の取り組みなどを進めている。また、気候関連財務情報開示タスクフォース提言に、日本の食品会社として初めて賛同を表明し、シナリオ分析など情報開示を積極的に行っている。