健康ニュース 2月15日号 数字は魔術師?!

     

大手新聞社の家庭版のあるページに下記の広告がありました。以前から納得できない数字がそこにも書かれていましたので、少し時間がかかりましたが検証してみました。

ベストセラーとなった「病気にならない生き方」の著者、S博士はアメリカで約35万人の患者の腸を、内視鏡を使って診てきました。その結果「健康な人の胃腸は美しい」と気づき、その鍵は「酵素」である、と言っています。そしてS博士の名前を表示した酵素をサプリメントとして薦めています。

またこの博士は、「牛乳有害論」を発表して牛乳論争を引き起こした博士としても知られています。

小子の疑問点①は、博士の渡米から帰国までの期間からして35万人を診てきたという数値でした。1日平均何人の患者を診ているのかを計算すると、不可能の数字となります。

医学書院発行の週刊医学会新聞(1999年1月18日)には,S博士の大腸内視鏡を使った胃腸診療は30年で約20万例とありました。これだと1日18例平均で、まだ多いようですが納得の数字と言えます。ただしこれでも30年間にわたり休みなしで診たとしての数値ですが・・・。先の数値35万人の場合は、1日45人を診ていたことになります。これにくらべると・・・。

大手新聞社の広告部署はこんな数値さえも検証しようとしなかったのでしょうか!

疑問点の②について書いてみます。このS博士はベストセラー書を出した以後、頻繁に「健康な胃腸を保つためには新鮮な酵素が欠かせない」と各地で講演活動をやっていました。これはご自身で作ったS酵素の販売活動とも言えます。今の法令では、医師の資格のない者がサプリメントの健康効果を謳うと処罰の対象となりますが、医師は例外なのです。

たとえ講演がサプリメントの販売促進目的であってもお咎めはありません。医師自身が先頭で旗を振っても良いのです。

以下は小子の最近の体験談です。

ある時、健康関連の展示会で、「S博士の作った酵素」というブースを見つけ、説明員の話を聞いているうちに、ふと気づいたことがあり質問をしました。

「最近S先生は講演会をあまりされていないようですが・・・」と言ったところ返ってきた言葉に驚きました。なんと「先生は80歳近くで無理は出来なくなったのですよ」とのこと。これはおかしいですね。日野原先生は一〇〇歳を超えても現役でした!

様々なルートで関係者にアプローチしてみました結果、驚くべきことが分かりました。

今から10年ほど前、「コーヒー浣腸事件」が発生しました。コーヒー浣腸を日本で広めたのはS博士で、書籍は一〇〇万部を超すベストセラーとなりました。S博士の指導の下、「腸内洗浄で肌改善を!」とうたった業者が薬事法(当時)違反で指導を受け、その際S博士を参考人として関係者が話を聞こうとしましたが、認知症で意思疎通ができなかったということです。 牛乳を飲まなかったから?酵素はあまり効果ないの?でしょうか。

亡くなった女優の川島なお美さんも、腸内洗浄で美肌効果が出るという説の信者のようでした。

大手メディアに言います!広告代理店に任せず、自社で掲載内容をチェックするべきです!全てを消費者の責任で片付けるのは良くないのではないでしょうか。