第675話 アンデルセンの蕎麦の実
2020/12/14
『世界蕎麦文学全集』物語17
あのアンデルセンが蕎麦の童話(1842年作)を書いている。蕎麦の実が黒いところに注目して、それは雷に打たれたからと想像して創作したようだ。
着目は一見して科学的だけど、答の方は傲慢さを咎める道徳的童話になっている。そこが真面目な性格だといわれるデンマーク的なんだろうか。
私の感覚では、前話で読んだ中国山東省の民話や韓国の小説の方が文学性が豊かなように思える。ただ言えることは、デンマークもしっかり蕎麦文化があるのだなということだ。
アンデルセンはドイツの北方にあるデンマークのフィン島の出身で、蕎麦の産地だ。その国の人は蕎麦粥porridgeなどで食べているそうだ。
また、デンマーク語とノルウエー語とスウェーデン語の「蕎麦」の言葉は似ているが、フィンランドは民族も言葉も違うので、二つの地域の蕎麦は伝播ルートが違うだろうと言われている。
蕎麦は日本列島には約3500年前に伝わっていて蕎麦路もあるていど分かっている。しかしヨーロッパ大陸は約2000年前に伝わっているが、その蕎麦路はまだよくわかっていない。
◎デンマーク、ノルウェー、スウェーデンへは何処から入って来たのだろう?
◎フィンランドへは何処から入って来たのだろう?
またそれを誰が持ち込んだのだろう?
蕎麦博士の大西近江先生は、物の移動は人の移動だとおっしゃる。「蕎麦の路は、人の路!」である。
『世界蕎麦文学全集』
42.アンデルセン『蕎麦』
文・写真 江戸ソバリエ認定委員長 ほし☆ひかる
地図 イラスト:ネットより