明治「豆類による気道閉塞シミュレーション動画」制作
執筆者:shirai
明治と武蔵野赤十字病院は、消費者庁消費者安全課から「嚥下シミュレータを使用した子どもの気道閉塞シミュレーションおよびイメージ動画の制作業務」を共同受託し、4次元嚥下シミュレータ「Swallow Vision」(スワロービジョン)を活用して、窒息や誤嚥の事故を予防するための行政の取り組みに参画した。Swallow Visionは、同社と武蔵野赤十字病院が共同開発した世界初の4次元嚥下コンピュータシミュレーションシステム。通常見ることができない飲み込む時の身体の動きと食品の流れを、コンピュータ上でリアリティのある画像として見ることと、仮想の実験(コンピュータシミュレーション)ができる。予防のためには、どうして起きるのか(事故のメカニズム)を理解することが重要であるものの、現実には食品がどのように気道を閉塞するのかを見ることが不可能であるため、まず見える化(可視化)し、メカニズムを検討したうえで、予防策を考えることが必要となる。このような状況のなか、窒息や誤嚥の事故を予防するためには、リアリティのある動画や画像により保護者や教育・保育従事者にわかりやすく伝えることが重要という消費者庁消費者安全課の判断のもと、同社と武蔵野赤十字病院は、「嚥下シミュレータを使用した子どもの気道閉塞シミュレーションおよびイメージ動画の制作業務」を共同受託した。Swallow Visionを使ったシミュレーションにより、乳幼児が豆類を飲み込むことで発生する窒息や誤嚥の様子を可視化し、明らかにしたメカニズムをもとにリアリティのある動画と画像を制作した。シミュレーションは、4歳児の口腔から気管支までの形状と運動をコンピュータ上で再現した「生体モデル」と、節分豆および煮豆の形状と物性をコンピュータ上で再現した「食品モデル」を組み合わせることで実施。乳幼児の姿勢や活動状況ならびに豆類のサイズや状態を、リスク因子(パラメータ)とし、パラメータの組み合わせを変更してさまざまな条件でシミュレーションを行った。その結果、豆類が小さい場合(豆の半分や破片の場合を含む)、喉頭口や声門が大きい人、気道が広がっている時(呼吸している最中など)は、豆類が喉頭や気管まで入りリスクが高いことが分かった。また、リクライニングした状態や、寝転がる、走るといった姿勢・活動によっても気道閉塞の発生リスクが高まった。