キリン「熟成ホップエキス」化粧品原料化に成功

      執筆者:shirai

キリンホールディングスは、ファンケルとの間で、2019年の資本業務提携を契機にキリンが独自に開発した「熟成ホップエキス」について、化粧品の原料化と新たな機能に関する共同研究を行っており、「熟成ホップエキス」の化粧品原料化に成功し、新たな機能として「毛穴の状態改善効果」があることを発見した。毛穴悩みの一つとして挙げられている「角栓のつまり」は、そのままにしておくと炎症などの肌トラブルが起こりやすい状態になってしまう。そこで、角質と皮脂のそれぞれに対する「熟成ホップエキス含有化粧品原料」の作用について調べた結果、精製水に比べて、開発した「熟成ホップエキス含有化粧品原料」は角質の主な成分であるケラチンが約3倍膨潤することが確認された。このことから、角質が柔らかくなり角栓が除かれやすくなることが期待される。次に、「熟成ホップエキス含有化粧品原料」の皮脂の酸化防止効果を確認するために、皮脂の構成成分の一つであるリノール酸に添加し、過酸化脂質の生成度を測定。何も添加しない場合(コントロール/control)との過酸化脂質生成度を比較した結果、「熟成ホップエキス含有化粧品原料」はリノール酸の過酸化脂質度を約1/14に抑制した。これは一般的な脂質の酸化防止剤であるBHTやBHA、α-トコフェロールなどと比較しても同等の酸化防止効果があると考えられます。以上のことより、開発した「熟成ホップエキス含有化粧品原料」は、角栓のできる要因である角質と皮脂の両方にアプローチすることが分かり、この原料を化粧品に添加することで、毛穴の状態を健やかに保つことが期待される。なお、「熟成ホップエキス」に関する化粧品原料開発と新機能に係る両技術について、キリンとファンケルは共同で特許を出願中している。今後も、両社で「熟成ホップエキス含有化粧品原料」の機能研究をさらに進め、毛穴に対する機能性を応用し、化粧品洗浄剤やスキンケア製品など幅広い製品へ生かす検討を行うとともに、「熟成ホップエキス含有化粧品原料」をファンケルの2021年の主力化粧品のリニューアルにも採用する予定となっている。