キリンビール「大規模太陽光発電設備」国内全工場へ導入

      執筆者:shirai

キリンホールディングスのグループ会社である、キリンビールは、国内全9工場に大規模太陽光発電設備を導入する。同社は再生可能エネルギーによる事業運営を推進するため、2016年に先行して導入したキリンビール横浜工場に続き、今年の2月より、キリンビール北海道千歳工場・仙台工場・取手工場・名古屋工場・滋賀工場・神戸工場・岡山工場でPPAモデルによる太陽光発電電力の導入を順次進めており、今回PPAモデルによるキリンビール福岡工場への導入をもって、国内全工場へ大規模太陽光発電設備の導入となる。実質の稼働は22年3月頃を予定しており、これにより年間約5,800tのGHG排出量を削減するとともに、本施策の効果を含むキリンビール全体の使用電力の再生可能エネルギー比率は、2020年時点の約18%から約34%に向上。今後もキリングループの国内外事業拠点での再生可能エネルギー導入を推進し、将来的にはキリングループの事業で用いる電力の全てを再生可能エネルギーに置き換え、早期のRE100達成を目指す。同社の多くの工場で導入しているPPAモデルは、三菱商事エナジーソリューションズの子会社であるMCKBエネルギーサービスがPPA事業者となり、キリンビールの工場の屋根などに、メガワット級の太陽光発電設備を設置し、そこで発電された電力をキリンビールが購入・活用するというもの。これまでキリングループは、三菱商事エナジーソリューションズと連携し、重油からガスへの燃料転換などGHG削減に向けたさまざまな取り組みを進めてきており、本件もこの取り組みの一環として新たに連携する施策で、本件は環境省「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」の採択を受けての実施となる。同社は「キリングループ環境ビジョン2050」で2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出量をネットゼロにすることを掲げており、これに向けたGHGの削減に関する基本戦略を、「省エネルギー×再生可能エネルギー拡大×エネルギー転換」として取り組んでいる。再生可能エネルギー比率向上には様々な手段がある中で、今回の大規模太陽光発電設備導入は、新たな再エネ発電設備を社会に増やし、火力電力を代替して社会の脱炭素化に直接的・本質的に貢献する施策となる。太陽光発電設備については、これまでキリンビール、キリンビバレッジなどの見学設備などに設置。海外では、オーストラリアのLion Pty Ltdでも2019年に太陽光発電システムの設置が完了し、運転を開始している。同社は、「2030年までに2019年比で、グループ全体のScope1とScope2の合計を50%、Scope3を30%削減する。」という高い目標を掲げ、昨年SBT(Science-based Targets)イニシアチブ(SBTi)の新基準「1.5℃目標」の承認を取得。徹底した省エネ活動に加えて、燃料転換の実施、ヒートポンプの導入、太陽光発電や風力発電、水力発電由来の電力の活用、および排水処理設備から得られるバイオガスを利用した発電などの再生可能エネルギーの活用、容器軽量化や共同配送を含むバリューチェーンでのGHG削減の取り組みなどを進めている。海外では、グループ会社のLion Pty Ltdで、2020年5月にオーストラリア初の大規模なカーボンニュートラル認証を取得。また、2018年には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に、日本の食品会社として初めて賛同を表明し、シナリオ分析など情報開示を積極的に行っている。