キリン「電気刺激の活用で塩味が増強される効果」確認
執筆者:motoe
キリンホールディングス(社長:磯崎功典)と明治大学(学長:大六野耕作)総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室は、共同研究の結果、減塩食品の味わいを増強させる電気刺激波形と箸型デバイスを開発。さらに、減塩の食生活を送る方々を対象にした臨床試験で、キリンと宮下研究室が共同開発した箸型デバイスを用いると、減塩食を食べたときに感じる塩味が1.5倍程度に増強されることを世界で初めて確認した。キリンと宮下研究室は、2019年より人体に影響しないごく微弱な電気を用いて、塩味の基となる塩化ナトリウムやうま味の基となるグルタミン酸ナトリウムなどが持つイオンの働きを調整し、疑似的に食品の味を濃くしたり薄くしたりすることで味の感じ方を変化させる「電気味覚」の研究を共同で実施おり、今回、微弱な電流で塩味をコントロールし、減塩食の味わいを増強させる電気刺激波形を開発しました。さらに、この技術を搭載した箸型デバイスを作成し、実際に減塩の食生活を行っている方を対象に臨床試験を実施した結果、減塩食を食べた際に感じる塩味が1.5倍程度に増強される効果を確認。電気刺激を用いて塩味を増強する効果を、箸、スプーン、茶わんなどの日常的に用いる食器に活用することで、薄味の減塩食に対する味の満足度を高められる可能性を発見したという。なお、同共同研究成果は「減塩生活者を対象とした電気味覚による塩味増強効果の調査」として、2022年3月2日にインタラクション2022(第26回 一般社団法人情報処理学会シンポジウム)で発表された(筆頭演者:明治大学大学院先端数理科学研究科 鍜治慶亘)。