キリン「調剤薬局向けAI置き薬サービス」テスト展開

      執筆者:motoe

キリンホールディングス(社長:磯崎功典)は、調剤薬局向けの新規事業「premedi(プリメディ)」を、4月26日から首都圏を中心にテスト展開を開始し、1年間で100店舗の薬局への展開を目指すことを発表した。同事業は、食から医にわたる事業領域でイノベーション創出を目指す社内新規事業公募制度「キリンビジネスチャレンジ」から誕生した当事業の展開を通して、特に中小規模の調剤薬局の課題を解決するとともに、ヘルスサイエンス領域での事業成長を目指すというもの。調剤薬局の多くは医療機関の門前に建てられるため、門前の医療機関から発行される処方せんが最も多く、処方内容も一定程度把握ができるため、調剤薬局は医薬品の在庫管理を適切に行えるが、一方で、処方せんの約3割は門前以外の医療機関から発行されており、普段は取り扱い頻度の低い医薬品が求められこともある。在庫がない場合は、直ちに調剤ができないケースもあるが、医薬品によっては緊急を要することもあり、薬剤師が他の薬局に赴き、在庫を調達するケースも日本各地で発生している。厚生労働省が2015年に策定した「患者のための薬局ビジョン」においても、調剤薬局は、医療機関の門前などの立地に依存し、地理的な便利さだけで患者さんに選択される存在から脱却し、適切な服薬指導などによって“かかりつけ薬剤師・薬局”として機能することが掲げられており、そのため、今後の調剤薬局においては、さまざまな医療機関からの処方に対応する必要性がさらに見込まれる。また、取り扱い頻度が低い医薬品は、適正な在庫を正確に予測することが難しいのが現状で、在庫を置いても処方されない場合も多く、薬局の経営を圧迫する余剰在庫になる可能性もある。こうした背景を踏まえ、同社は、患者さんに必要とされる医薬品を、調剤薬局が余剰在庫を持たず安定した提供を助けるサービス「premedi」のテスト展開を開始する。同サービスは、キリングループのマーケティングリサーチの知見を活用した独自のAI予測リコメンド手法で、各調剤薬局店舗が医薬品の在庫欠品リスクを減らし、適正な在庫管理を提案する置き薬サービス。調剤薬局から過去の出荷データを当社が受領し、取り扱い頻度は低いものの調剤の可能性のある医薬品をAIで予測して医薬品を約100種類提案するとともに保管棚を貸し出し。また、医薬品は当社の販売パートナーが小ロットで販売し、調剤薬局に提供。使用期限の近付いた医薬品は、販売パートナーが買い取ることができるため、取り扱い頻度が低い医薬品の欠品をローリスクで減らすことができるという。