キリングループ「環境報告書」2022公開
執筆者:shirai
キリンホールディングは、2022年7月6日に「環境報告書」2022を公開した。本年の開示内容は「相互に関連する環境課題への統合的アプローチ」「TNFDが提唱するLEAPアプローチおよびSBTNが提唱するAR3Tフレームワークによる自然資本の試行的開示」「2021年10月に公開されたTCFD新ガイダンスに準拠した開示(移行計画含む)」の三つとなっている。2022年3月に公開されたTaskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)のフレームワークβ版 v0.1では、気候変動関連のリスクと自然関連のリスクに対して統合的にアプローチすることが推奨されている。同社は、2013年に「生物資源」「水資源」「容器包装」「気候変動」の4つの環境課題を、独立したものではなく「相互に関連する環境課題」と明記し、「キリングループ長期環境ビジョン」の基本思想を立ち上げて以来、統合的なアプローチに取り組んできた。この基本思想は、2020年に策定・発表した「キリングループ環境ビジョン2050」にも受け継がれていることから、TNFDが推奨する統合的なアプローチは、キリングループが継続的に志向してきた考え方そのものとなる。本年の「環境報告書」では、キリングループの価値創造モデルであるフレームワークを初めて開示するとともに、さまざまなパートでキリングループの統合的(holistic)アプローチを紹介している。また、キリングループは、気候変動というグローバルな課題に対処する一方で、事業が依存する自然資本の課題は、場所に固有であり依存性があるローカルな課題であることを、10年以上前から行ってきた生物資源や水資源のリスク調査やTCFDのシナリオ分析の中で深く理解してた。本年の「環境報告書」では、これまで取り組んできた自然資本関連の取り組みを、2022年3月に公開されたTNFD開示フレームワークβ版 v0.1で提唱された「LEAP(Locate、Evaluate、Assess、Prepare)アプローチ」やSBTNの行動フレームワークで掲げられている「AR3Tフレームワーク」に当てはめた試行的開示を行っている。さらに、本年の「環境報告書」では、2021年10月に開示された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の新ガイダンスである「気候関連財務情報開示タスクフォースの提言の実施」および「指標、目標、移行計画に関するガイダンス」に準拠して開示ており、「TCFD新ガイダンス」で開示を求められている移行計画についても、2022年1月より運用を開始した気候変動を緩和するためのロードマップを中心に開示している。<参考>・キリングループ「環境報告書」2022 https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/env_report/ ・「キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画」改訂 https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2021/0903_02.html ・「キリングループ環境ビジョン 2050」 https://www.kirinholdings.com/jp/impact/env/mission/