健康ニュース 1月15日号 「あ~ぁ天国」から地獄へ

     

 温泉に行った時、良く口にする言葉として、「あ~日本人で良かった」というセリフがあります。日本人にとって入浴習慣は生活に欠かせません。そんな生活に密着した入浴習慣に、様々な機関が毎年のように警鐘を鳴らして注意を促しています。

 令和2年発表の厚生労働省人口動態統計によりますと、交通事故死者数は、年間2199人であるのに対して、入浴中浴槽内での溺死者数は、4724人に達しています。

 また消費者庁では、入浴中の事故防止に次の5項目を挙げています。

➀入浴前に脱衣所や浴室を温めましょう。

②温度は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。

③浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。

④食後直ぐの入浴、飲酒後や医薬品服用後の入浴は避けましょう。

⑤入浴する前に家族など同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。

 この注意事項は、高齢者を対象とした健康講演でも再三使わせていただいています。

 健康講演の難しさは、不可能と言えますが、聴講者の一人一人に満足してもらわないといけないことです。その聴講者の生活環境は、多種多様で聴講者の数だけあると言っても過言ではありません。

ある会場で➀に関して質問が出ました。

「脱衣所を温めるのは電気ストーブなどで可能ですが、浴室をどうやって温めるのですか?」

「お風呂に入ろうとする前に、風呂蓋を開けっ放しにしたうえで、シャワーを全開にして流しておけば、脱衣の間に浴室は湯気一杯状態になり温度差が少なくなりますよ」と説明しています。

また④に関して「飲酒後すぐのお風呂がいけないことは知っていますが、薬を飲んだ後もダメなのですか?」と問われたことがあります。

 「薬の内容にもよりますが、血圧を調整する薬などの場合は、血圧が必要以上に下がり過ぎ事故を起こしかねません。また精神安定剤や睡眠薬などもそのリスクがあります。医師や薬剤師に確認しておいた方が無難ですね」

⑤に関しても質問が出ました。

 「私は何年も前から一人住まいです。そんな私がお風呂での事故を防ぐにはどうしたら良いでしょうか?」

 単身で生活している方の入浴事故を防ぐには・・・?

 「浴槽には必ず湯栓(風呂栓)がありますね。湯船に浸かっている時は必ず湯栓をしっかり握って入りましょう。万が一、おかしいなと思った時は、人生最後の力を出し切るつもりで湯栓を引っ張ってください。もし気を失ってもお湯がどんどん流れていきますので溺死するリスクはうんと少なくなります。寒さで気が付くかもしれませんよ・・・」

この説明である程度の納得はしてもらえたようです。

 人夫々と言えますが、お湯の温度にも、温めの好きな方、熱い湯でなければだめという方がおられます。

 一般的には40度~42度で副交感神経が最も活発になり、血液循環も良好状態で体の芯から温まる、筋肉疲労も

解消すると考えられています。

 42度以上では、交感神経が刺激され新陳代謝も促進、疲労回復には最適とも言われております。

 ちなみに小子は、就眠1時間程度前に40度~42度の湯舟に延べ10分程度全身で浸かっています。結果、額からは、玉のような汗が出ています。さらにリラックスを図るためには、愛唱歌であるタイガース球団歌「六甲颪」をかなり大きめの声で歌いたいのですが、近所迷惑だから絶対にダメ!と第一夫人に禁止されていますので・・・。

 入浴は、明日の元気を養うためにも日本人には欠かせない習慣です。そのためにも事故防止の5項目に注意しておきたいものです!