健康ニュース 6月1日号 歯の健康について

     

 6月4日は虫歯予防デーであり、4日から1週間は歯と口の健康週間です。

 歯の健康と言えば、「歯磨きの333運動」が良く知られていましたが、最近はあまり聞かなくなったような気がします。そこで歯科衛生士の安倍薫先生にお聞きしたところ次のように話してくれました。

 「歯磨き333運動」についてもう一度勉強をしてみましょう。最初の3は、「1日に3回」と言う意味です。これはOKでしょう。次の3は、3分間歯磨きをしようという意味ですが、3分というのは少し短いような気がします。できれば5分以上かけてしっかり歯磨きをしてほしいですね。最後の3は、食後3分以内に歯磨きを、という意味で提唱されていましたが、最近では食後3分以内の歯磨きは歯の健康のためにはマイナスということが広く浸透しています。歯科医師や歯科衛生士は、食後3分以内の歯磨きはかえって歯を痛めるので、食後30分ぐらい経過してからの歯磨きを提唱しています。飲食後の口中ペーハー(pH)は酸性になっています。つまりpH値が低くなっています。pH値が5・5から歯が溶け始めるのですが、食後のpH値が低くなっている時に歯を磨くと、脆弱な状態のエナメル質に歯磨きという摩擦力を与えダメージを増長することは疑いの余地もありません。

 虫歯菌の最大の餌は食べかすというよりも砂糖と考えた方が良いでしょう。食べかすというと、お肉の破片もしかり、ご飯や野菜などの食物繊維もそうで、非常に広範囲になります。それらの食べかすよりも、虫歯菌が最も好きなのは砂糖ですよ。ここでいう砂糖とは、純然たる砂糖だけでなく異性化糖(炭酸飲料、ジュース類など)も含みます。これらに起因する虫歯が気になります。ただの食べかすだけだと虫歯にはすぐにはなりません。加工食品摂取が日常化し増加し続ける現代人の食生活は、目に見えない形で砂糖摂取量が増加しています。アフリカの原住民の昔ながらの食事スタイル生活では、食後すぐに歯を磨かないでも虫歯にはなりませんでした。近年、加工食品が蔓延し砂糖摂取量が増えた結果虫歯が爆発的に増えているのは何を語っていると思いますか?ベストなのは、ダラダラ食べない、ジュース類、スポーツドリンクなど常飲しないことでしょうね、と話してくれました。

 もう一つ「8020」についても語っていただきました。「8020」とは、80歳になっても自分の歯を20本持っていようという平成元年に厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進したキャンペーンです。当時の平均寿命は80歳でしたが、20本以上歯があれば食生活にほぼ満足できると言われていました。

 今現在、75歳~84歳で20本以上歯のある方は51%ぐらいと言われています。残っている歯を大切にするためには3か月から6か月単位で歯科医や歯科衛生士のチェックを受けた方が良いでしょう。高齢者は薬の副作用で唾液も減りますし、オーラルフレイルの予防も忘れてはなりません。義歯の方も定期的にチェックを受け最善の状態で食事をすることが健康長寿のためには欠かせないです。

以上が歯科衛生士、安倍薫先生へのインタビューの要旨内容です。

 話が一転しますが歯磨き後のうがいについて調べた結果、以下のことが分かりました。

フッ素配合の歯磨きで歯を磨いた後のうがいは、少量の水で1回のみとするのがベストです。何度ものうがいは、歯磨きに含まれているフッ素化物が流れ薄くなり、フッ素効果が減ります。少量の水ですすぎ流した後は、しばらく飲食しないことにより再石灰効果が高まるそうです。

歯磨き粉が残っている感覚で何度もうがいをしている方も多いと思います。口中に残った歯磨き粉成分は気にしないことですね。