第884話 つゆ物語の会

     

 江戸ソバリエかすや会の「出汁の勉強会」に参加した。
 参加者はソバリエを中心に14名、会場は北池袋長寿庵(江戸ソバリエの店)だった。
 先ずは、糟谷代表により、下記四種の出汁勉強会の趣旨説明があって、試飲試食が実施された。
 ❶4種の出汁材料の香り比較
  A.,鰹節(本枯節)、B,鯖節、C,宗田鰹節、D,うるめ鰯
 ❷4種の出汁の試飲
  出汁(水1.5ℓ出汁100g 10分沸騰⇒出汁1ℓ)
 ❸4種の蕎麦つゆ試飲
  出汁2.5:返し1⇒蕎麦つゆ
 ➍4種で《ざる蕎麦》試食
 ❺4種の蕎麦湯試飲
 途中に、鰹節問屋湯浅商店(4代目)様による、「鰹節(本枯節)、鯖節、宗田鰹節、うるめ鰯の話」、ならびに北池袋長寿庵飯高様による「蕎麦つゆの話」があった。
 この❶から❺の方法による試飲試食会は、まるで「つゆ物語」の中にいるようで楽しく意義深かった。

 以下は個人的感想であるが
 ①出汁試飲では「うるめ鰯」、「本枯節」の順で美味しかった。「鯖節」「宗田鰹節」はあまりインバクトはなかった。
 ②ところが、蕎麦つゆにすると「本枯節」のバランスが最高に美味しく、「鯖節」の多少の甘味が素晴らしかった。出汁試飲で美味しかったはずの「うるめ鰯」はたいして美味しくはなかった。
 ③そこで、「本枯節∔鯖節」と「本枯節∔宗田鰹節」で蕎麦を食したところ、各々(鯖節の甘味、宗田鰹節のアクセント)の美味しさを楽しめた。
 ④また、蕎麦湯にして飲んでみると、さらに美味しさが明確に分かった。

 湯浅様の話のなかで、鰹の漁獲量が減っているため、鰹節生産も激減している、そのため代替出汁が登場し始めているとの話があった。
  今のわれわれには、地球の危機、和食の危機を乗り越える知恵が必要と思われる。

 糟谷さん、ありがとうございました。次回を期待しています。

 写真:北池袋長寿庵は東上線北池袋駅の目の前、まるで店のために駅があるよう。トレードマークのサーフィン。

江戸ソバリエ協会理事長
 農水省 和食文化継承リーダー
ほし☆ひかる