第909話 キングダムⅠ.Ⅱ.
『キングダム』第4作目「大将軍の帰還」を観に行った。
これまで、NHKテレビのアニメや、映画、テレビ映画など観てきたので、久しぶりに映画館へ足を運んだ。
内容は秦国の中華統一物語。シリーズの主人公は戦争孤児の信(山﨑賢人)と途中で知り合った軍師を目指す河了貂(橋本環奈)。もう一方の主人公は秦の国王嬴政(吉沢亮:後の始皇帝)。臣下には政擁立派の左丞相昌文君(高嶋政宏)と千人将壁(満島真之介)、反政派に右丞相呂不韋(佐藤浩市)、猛将蒙武(平山祐介)、軍師昌平君(玉木宏)らがいる。
【第1作目】は、弟・成蟜(本郷奏多)の反乱。自分(成蟜)は正室の王子、なのに卑しい妾の子である嬴政(吉沢亮)がなぜ王なのかと反乱を起こす。本郷奏多という俳優は心の捻れた役がピッタリである。そういう男でも、正室の王子というのは有利。王の味方は昌文君ぐらいで形勢不利。
この第1作目の山場は、反乱軍と戦うためには、山の民の協力を得る策しかないと秦王嬴政(吉沢亮)が、中華統一の道を堂々と語る緊迫の場面である。なぜ緊迫の場かというと、曾祖父昭襄王(草刈正雄)の時代、秦と山の民は同盟を結んでいたが、秦が裏切って、今は敵対関係にある。だから交渉に失敗すれば、皆殺しに合う。しかし山の民は嬴政(吉沢亮)の説得を受け入れ、山の王楊端和(長澤まさみ)は将軍として迎えられる。山の民はいつも仮面を付けている。が、仮面を外すと美女(長澤まさみ)である。その意外さと色っぽさが人気になった。もちろん史実の楊端和は男である。が、漫画でも映画でも女性になっている。いずれにしろ楊端和(長澤まさみ)率いる山の民軍と信(山﨑賢人)らは戦いに勝利し、王都咸陽(陝西省)奪還に成功した。
仮面といえば、江戸ソバリエ北京プロジェクトの皆さんと中国南部を訪れたとき、ここは古代夜郎国があった所という大きな看板が立っていて、仮面を被った人たちが踊っている絵も描いてあったことを思い出す。
【第2作目~遥かなる大地】
それから半年後、隣国魏の呉慶(小澤征悦)の大軍が秦へ進攻した。それを受けて麃公(豊川悦司)将軍率いる秦軍が戦地蛇甘平原へ出陣、信(山﨑賢人)も羌瘣(清野菜名)や仲間たちと従軍する。
この映画は逞しき男たちのオンパレードであるが、その間に美女が登場するのが特色である。第1作目は長澤まさみであったが、第2作目からは清野菜名が、哀しい目をした謎の女剣士として登場する。羌瘣(清野菜名)は史実でも実在する秦の将軍であるが、ここでは千年以上もの哀しみの伝説をもつ蚩尤を租とする苗族の女剣士として活躍する。清野菜名の眼差しは哀しみの一族に相応しい。だがおそらく登板する武人剣士のなかで一番の剣捌きであろう。人間離れした動きで宙を飛びながら舞うようにして敵をなぎ倒していく。
ただ、第2作目の真の主役は別にいる。
秦軍は、魏の装甲戦車隊の突撃で被害最悪のなか、千人将縛虎申(渋川清彦)、が登場する。この男は信(山﨑賢人)の上官でもあるが、口答えをする者は斬り付けるほどの超パワハラ上官。それが突然無謀な突撃命令を下す。魏軍の副将宮元(髙橋努)のいる丘へ突撃しろと言う。部下は日頃の上官パワハラから拒むこともできず、死に物狂いに敵目掛けて疾走するしかなかった。縛虎申隊は一本の矢となって大地を突っ走る。しかし縛虎申(渋川清彦)は口先だけの男ではなかった。自ら先頭を切って丘を登る。信(山﨑賢人)や羌瘣(清野菜名)らも従った。そして縛虎申(渋川清彦)は宮元(髙橋努)と刺違え、猪突の一点突破策は成功した。形成逆転とみた麃公(豊川悦司)将軍も自ら突撃、そして麃公は呉慶(小沢征悦)との一騎打ちで勝利を収め、魏軍は撤退した。
蚩尤といえば、江戸ソバリエ北京プロジェクトの皆さんと中国南部を訪れたとき、苗族の住む各地で大きな銅太鼓を見かけた。伝説では、蚩尤は銅鼓とともにやって来るといわれている。
江戸ソバリエ北京プロジェクト
ほし☆ひかる