第928話 未来味覚の予感
「第28回更科堀井 秋の会」から
令和6年11月、「第28回更科堀井の会~更科蕎麦と江戸野菜を味わう秋の会」が開催されました。
この度は、総本家更科堀井九代目当主の堀井良教様が「令和6年度 現代の名工」に選ばれましたので、当会からもお祝の花束を贈呈させていただきました。
「江戸蕎麦が日本の柱」としている江戸ソバリエとしても本当によかったと思います。
さて、今回の秋の会の御献立もまた、二度と口にすることのできない一期一会のお料理でした。 そのなかの幾つかの料理の個人的感想を述べてみることにします。
《蕎麦馬込三寸人参切り》
河合料理長から説明がありましたように「人参をペースト状にして極限の四割」も入れた人参切り、香りからもまさに「人参蕎麦」でした。
《滝野川牛蒡揚げの掛け蕎麦(摩周産)》
口にいれたとき、揚げと掛けの落差に違和感のようなものがありましたが、つゆが絡みますと、美味しいのです。作家の高田在子さまは、これもひとつの「味変」とおっしゃっていましたが、確かに。また生七味の柔らかな辛さが何ともいえません。
《桧原蒟蒻と今帰仁アグー豚のホイコーロ仕立て》
ホイコーロという中華っぽい名前にしては、ご飯のお伴的な和みの味でした。「丼物」にしてもいいとさえ思いました。
蒟蒻芋の蒟蒻と、蒟蒻粉の蒟蒻は味の浸み込みが違うということを初めて知りました。今度から商品の裏側をしっかり確認してから買いたいと思います。
ただし、江戸野菜の販売店さんが「奥多摩蒟蒻」と教えてくれましたので、「御献立」にそう書きましたが、正しくは「桧原在来種の蒟蒻」だそうですので、ここで訂正いたします。
《練馬産柿入り沢井柚子汁粉》
「いままで経験したことのない」なんていうのは最近の気象情報の定番台詞ですが、まさに経験したことのないミラクル味でした。
28回目の今回も、ご参加者の皆様さまにご満足いただけたかと思いますが、一つだけ別の話を付け加えます。
総本家更科堀井さんと不二製油が共同開発したMIRACOREを使った植物生まれの新しいつゆ「やさしいつゆ」が今月から発売されました。
MIRACOREは<植物性で、動物性ならではのおいしさや満足 感を実現する>技術ブランドとのこと。
さっそく、自宅で《掛け蕎麦》と《豚しゃぶ》でいただきましたが、ずっと前に大阪で開催されたセミナーで実験的に試食したときより、数段美味しくなっていました。
御献立にあった、ミラクル味もふくめて和食が、だんだんと未来へ向かって前進しているような予感のする会でした。
江戸ソバリエ協会
ほし☆ひかる