<コンビ二創業戦記・別伝>「DCVS回想録」第21回
2017/01/24
「懐かしのローソン東富士ゲストハウス時代(1994~2002)」(その2)
<『BMC研修』と『契約更新前研修』>
私が開館当初はゲストハウス館長、そして平成11年(1999)7月からは名誉教授として、加盟店オーナー研修に関わったのは、「ローソン東富士ゲストハウス」がオープンした平成6年(1994)8月から、平成14年(2002)5月までの約8年間である。
新規加盟店のための研修は、新規加盟のオーナーさんが、「オープン前に、コンビ二経営のために基本的に必要な知識と技術を習得する研修」であり、『BMC研修』と呼ばれた。新規加盟店がオープンするためには、『BMC研修』を修了することが不可欠の大前提であり、必須の研修であった。
『BMC研修』には、一般加盟店向けのほかに、ダイエーグループ社員独立制度によるチャレンジオーナー(CO)研修があり、これを『CO・BMC』と呼んだ。何れも、ご夫婦、又は家族二人の受講を原則とした。
『CO・BMC』は、ダイエーグループ社員出身・流通経験者ということで、「GMSやSM的経験の克服、直営店思考や大企業意識の打破」など、チャレンジオーナーさんたちに「フランチャイズシステムとコンビ二業態の本質」への理解を深めてもらうための意識改革にも、研修の力点が加えられることになる。
平成9年(1997)からは、複数店舗経営の増加に合わせて、店舗管理者研修を『BMC(Ⅱ)』として開始する。これも一店舗2名の受講が原則である。
これらの『BMC研修』は、5泊6日の合宿研修であり、受講される加盟店の皆さんは、かなりな負担と緊張を感じながら参加されていたようであった。
この『BMC研修』を修了した後、加盟店の皆さんは、それぞれの地元に帰り、地区トレーニングストアでの店舗実習で、一定期間の実践経験を積んだ上で、初めて自分のお店のオープンを迎えることになるのである。
『BMC研修』とは別に、既存店向けの『契約更新前研修』がある。
フランチャイズ契約期間の10年を迎える既存店が次第に増えていく中で、「契約更新」にあたり、これからの新たな10年に向けて飛躍の戦略を練り、更なるローソン商人意識を高めるために必修とされる研修であった。
なかには、「今更、何の研修だ」、と強い異議を挟む加盟店もいたようであるが、研修が修了すると、例外なく「参加してよかった」、との感想を述べられたようである。
これは3泊4日、オーナーご夫婦の参加を原則とした。
<ゲストハウス『ローソン商人魂』の礎石>
<加盟店研修の軌跡>
私の在任期間中の加盟店研修記録を総合すると、次のようになる。
平成 6年(1994) 8~12月
・『BMC』 第1期~16期
平成 7年(1995) 1~12月
・『BMC』 第17期~61期
・『CO・BMC』 第1期~17期
・『契約更新前研修』 第1期~2期
平成 8年(1996) 1~12月
・『BMC』 第62期~99期
・『CO・BMC』 第18期~30期
・『契約更新前研修』 第3期~25期
平成 9年(1997) 1~12月
・『BMC』 第100期~139期
・『CO・BMC』 第31期~42期
・『BMC(Ⅱ)』 第1期~2期
・『契約更新前研修』 第26期~46期
平成10年(1998) 1~12月
・『BMC』 第140期~180期
・『CO・BMC』 第43期~53期
・『BMC(Ⅱ)』 第3期~13期
・『契約更新前研修』 第47期~64期
平成11年(1999) 1~12月
・『BMC』 第181期~219期
・『CO・BMC』 第54期~65期
・『BMC(Ⅱ)』 第14期~25期
・『契約更新前研修』 第65期~79期
平成12年(2000) 1~12月
・『BMC』 第220期~264期
・『BMC・(Ⅱ)』 第26期~27期
・『契約更新前研修』 第80期~96期
平成13年(2001) 1~12月
・『BMC』 第265期~302期
・『契約更新前研修』 第97期~119期
平成14年(2002) 1~5月
・『BMC』 第303期~317期
・『契約更新前研修』 第120期~129期
ということで、これを見ると、当時のローソンのエネルギッシュな躍進力をひしひしと痛感するのである。
この内、同じ期での研修参加店舗数が多すぎて、たとえば第188期A組とB組に編成し、2週に分けて研修したクラスや、同じ店で一人つ”つ2回に分けて参加する店も時にはあったから、BMC研修総回数は延べ409回に及び、受講店舗数は約5690店を超え、受講者は13100人に上るだろう。
これとは別に、『契約更新前研修』が私の在任期間に第129期まで実施されており、延べ約1659店舗、3200人以上が受講したはずであるから、BMCと合計すると、私の在任期間の総研修回数は延べ538回、研修参加店舗数は7349店、受講者数は16300人に達したと思う。
私は、この内、誠に残念ながら、33回ほどは参加できていない。
というのも、毎年・春秋の年2回、全国を北海道、東北、関東、東海、関西、中四国、九州と7地域に分けて、定期的に開催されていた、加盟店向けの商品政策説明会・「ローソン・フレンドリーセミナー」には、必ず出席して、それぞれの地域のオーナーさんや店舗の皆さんたち全員と握手を交わし、激励するのを常とした。
また海外視察や社内会議などで、どうしても外せないスケジュールが重なる時もあり、研修に顔を出せないこともあったのである。それでも、参加率は93・8%になる。
コンビ二経営に必要な基本的な知識と技術の習得に付いては、ヴェテランのトレーナーたちがそれぞれに分担して、カリキュラムに従い、懇切丁寧に指導に当たってくれた。
<BMCのカリキュラム>
BMCにおける5泊6日研修の「カリキュラムの概要」は、概ね次のようなものであった。
第1日 お出迎え・ 開講挨拶・研修オリエンテーション ・ウエルカムパーテイ
第2日 本部と加盟店の役割・本部支援システム・POSレジ基本動作訓練開始
第3日 商品品揃え・発注・クルー管理・サービスマナー
第4日 ストアーコンピュター操作(点検・精算・発注)・店舗の安心安全の確保
第5日 利益管理・店舗の五宣言作成
最終日 ライフプランと福祉会・五宣言発表・修了祝辞・フェアウエルパーテイ・お見送り
のプロセスが基本日程であった。
<BMC研修テキスト>
<更新前研修のカリキュラム>
更新前研修における3泊4日の「カリキュラム」の概要は、次の通りBMCのそれとはかなり異なる内容であった。
第1日 お出迎え・開講挨拶・研修オリエンテーション・ウエルカムパーテイ
第2日 「個人経営から組織経営へ」=「家業経営から企業経営へ」の転換を共に考える
最終日 五宣言発表・修了講義・フェアウエルパーテイ・お見送り、
であった。
トレーニングチームの責任者・トレーナー主席は、私の在任中、五十嵐清明さん、横畑卓一さん、高岡文夫さん、村田英昭さん、香曾我部学さんへと代わったように記憶しているが、皆さんそれぞれに持ち味を発揮し、また時々の課題にも適応しながら、本当によく成果を挙げて頂いたと感謝している。
<田中支配人時代の皆さんと> <萩尾支配人時代の皆さんと>
私が「BMC」・「更新前」の両研修共に、主として担当したのは
第1日の「お出迎え」と「開講挨拶」、及び「ウエルカムパーテイ」
最終日の「修了祝辞」と「フェアウエルパーテイ」、及び「お見送り」であった。
私はスケヂュールさえ取れれば、この両日のプロセスには、必ず参加することを原則とした。
万一スケジュールが取れない時には、初日のプロセスか、最終日のプロセスのどちらかには、必ず出席して、研修参加の皆さん一人ひとりと直接挨拶し、激励できるように心がけた積りである。
私は研修が修了する度に、参加された全てのお店の皆さんに、「研修修了を祝福し、今後のご活躍に期待する」旨の『激励の葉書』を書くことを、8年間、一貫して実践し続けた。
「お出迎え」の大切さに付いては、既に前号で述べたので、次号ではその他のプロセスに付いて述べてみたい。
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