【4月号】 足立のつまもの農家が出荷する「菜花(なばな)」

     

今年は春先の異常気象で寒暖の差が大きく、菜の花も1週間ほど早く咲き始めた。
足立の「つまもの」栽培農家が、「菜花」を出荷し始めたのが3月13日だ。
菜花は、春を告げる野菜として、人気があるが、ハウスなどで栽培する季節先取りの野菜と違って、露地栽培だからだ。

この菜花、昔、料理人たちの要請で栽培が始まったものだが、戦後の30年代、房総を旅した足立の農家が、2月に菜の花が咲き始めているのに目をつけ、房総の農家から畑単位で購入、収穫した菜花を両国駅留で送ってもらい、最中調整をして出荷してという。
足立よりも1ヵ月も早く市場出荷ができたことから、値良く販売できたという。

そのうち、花が売れることを知った房総の人たちも「菜花」を市場出荷するようになったという。
今では、菜花は、房総を象徴する産物になっている。
足立では、長い生産の中で、食味や脇芽の付きが良い小松菜の中から選ばれた品種で栽培している。

東京の野菜文化が、地方に伝わった例は他にもある。
ウド栽培やシクラメン栽培がそれだ。

軟化うどの栽培は、根を育成する作業から始まるが、大切なのは早く霜に当てて根を休眠させる必要がある。それによって軟化作業が早まるわけで、暮れから正月の値のいい時期に出荷に間に合わせることができる。
東京のウド生産農家は早く霜の降りる群馬などへ持ち込み、栽培を委託してきた。
これにより、委託先の農家もそれを覚え、そこにウドの産地が生まれる。
今日、山ウドとして短く先端部が緑色のウドが、市場に出回るようになっている。

シクラメンも同じで、暑さが苦手なシクラメンは夏場は高冷地の農家に委託して、秋になると、東京にもってきて、調整作業を行い、クリスマスに間に合わせる。
これによって、高冷地の農業後継者が、東京の生産者の元で研修を行い、高冷地に産地が生まれ、今日では北関東などに、シクラメンの産地が生まれ農林水産大臣賞などを取る、栽培技術も身に着けている。

江戸の時代から、文化の発信地だった江戸は、東京となった今日でも野菜文化を発信しつつある。

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