キリン「ホップ由来ビール成分が認知機能の改善」を解明

      2017/11/25   執筆者:motoe

キリン(社長:磯崎功典)の健康技術研究所(所長:近藤恵二)は、東京大学、学習院大学と共同で、ホップ由来のビール苦味成分であるイソα酸がアルツハイマー病発症時の海馬の活動を改善することで、低下した認知機能を改善することを世界で初めて解明した。同社はこの研究成果を11月24日から26日に開催される「第36回日本認知症学会学術集会」にて発表する予定。高齢者の増加に伴い、認知症および認知機能の低下は、日本のみならず世界的に大きな社会課題となっているが、特に高齢化の進む日本国内では、2025年には認知症患者が700万人を超えると推定されている。一方、アルツハイマー病に代表される認知症には十分な治療方法が開発されておらず、食事や運動といった日々の生活を通じた予防手段が注目されてきた。疫学などの研究では、適度な量の酒類の摂取は認知症の防御因子となることが報告されており、同社でも、これまで東京大学と共同でビールの苦味成分であるイソα酸のアルツハイマー病予防効果に関する研究に取り組んできた。今回、東京大学、学習院大学と共同で、アルツハイマー病を発症し認知機能が低下した状態のマウスに7日間イソα酸を投与することで、脳の中でも特に記憶に重要な領域である海馬の活動異常が改善することをMRI測定により見出した。また、イソα酸の摂取は海馬における炎症を抑制し、認知機能を改善すること、短期的な摂取においてもアルツハイマー病に伴う認知機能低下を改善することを確認した。