健康ニュース 7月15日号 情報の読み方裏表
下記のような情報が届きました。
「コーヒーと健康長寿の研究論文」という見出しで、内容は次の通りです。
「アテネ大学研究班の発表によれば、ギリシャのイカリア島の住民8000名の内、90歳以上は100名、毎日コーヒーを飲む習慣があり、142名を調査の結果、50%の人が血管に弾力性があり、しなやかでした」
このコラムの見出しは、「健康長寿の秘密はコーヒーにあった!」とあります。
この記事を読まれた方は、おそらくコーヒーには健康長寿の何かがある、と判断されるのではないでしょうか。
冷静にこの記事について考えてみました結果、小子の見解は次の通りです。
①住民8000人の内、90歳以上が100名、とありますが、これは全住民の1・25%で、日本の同比1・6%と比べるとかなり下回っています。我が国に比べると低い数値の国のデータを引用し、何を参考にしなさい、と言っているのでしょうか。
②毎日コーヒーを飲む習慣があるのは全島民でしょうか、それとも90歳以上の方でしょうか、まったく読者が勝手に推測するしかありませんね。仮に全島民が毎日コーヒーを飲む習慣があるとします。そのうち142名を調査したとあります。これは全島民の1・7%です。そのうち50%の方が、血管に弾力性ありとのこと。これは全島民の0・89%です。1%にも満たない結果をもってして、なぜコーヒーは血管に弾力性をもたらし、またしなやかにすると言っているのか、小子にはまったく理解できません。
この情報発信者は、海外の情報なら何でも信じてよい、信じるべきだ!とお考えの持ち主としか思えません。
小子もコーヒーは日本茶同様に大好きで、毎日3~4杯は飲んでいます。だからと言って特別健康効果を期待しているわけではありません。お茶とかコーヒーといった嗜好品は、人それぞれの考えがあるはずです。
だからと言ってコーヒーなどが持つ健康的な作用を否定しているのではありません。よしんば、コーヒーを飲んで血管がしなやかになってくれるのであれば尚幸いです。ただ健康的な効果を期待して飲み続けるのは、嗜好品としての域を脱しているような気がしてなりません。そんなことを意識して飲む方がおられるのでしょうか。全ての飲食に何かを期待していることは滑稽と思いませんでしょうか。
広辞苑には、嗜好品の見出しに「栄養摂取を目的とせず、香味や刺激を得るための飲食物」とあります。
長い論文を、端的にまとめ上げ発信することは大変な労力を要することは理解できます。だからと言って自分に都合の良い書き方をし、都合よい解釈で世に出すことはいかがなものでしょうか。
その代表的な例が、認知症予防に良いと言われたココナッツオイル(椰子油)です。ブームが去った今、スーパーなどの食品売り場ではあまり見かけなくなりました。固形石鹸作りの原料である椰子油が、名前を変えたからと言って認知症に貢献するとはとても考えられません。椰子油を食品として日常茶飯事に使っている国では肥満体が多く平均寿命も短いです。認知症発症前に多くの人々が、肥満が原因の疾病で亡くなっていることは、関係者なら知っているはずです。ココナッツオイル(椰子油)は認知症予防になる、と毎日のようにテレビで言っていたあの学者は今いずこへ・・・。
テレビでは毎日のように健康情報を発信しています。これらは娯楽番組として見て楽しみましょう。