健康ニュース 11月15日号 ワクチンを考える

     

 コロナ対策の最も有効な手段が、ワクチン接種であることを否定する人はいないことでしょう。

 「コロナ禍の健康管理」という演題で健康講演の質問時間にご年配の方が、「ワクチンを打つということは、生きたウイルスを体内に挿入することである。たとえ微量でもそれはリスクが伴うから、私はコロナのワクチンは打たない」という主旨の発言をされました。

 ワクチンに関しては化石的な発想と考えます。

 ワクチンには色々なタイプがあります。それは時代の進化とともに変わっています。

⓵生ワクチン

このワクチンは、生きたウイルス、細菌の病原性(毒性)を極力抑え、免疫が作れるギリギリまで弱めたものです。はしか、結核予防に使われるワクチンがこの種のワクチンです。

 ②不活性化ワクチン

 このワクチンは、ウイルスや細菌の毒性を完全に無くし、免疫を作るのに必要な成分のみを製剤にしたもので、ポリオやインフルエンザ、狂犬病ワクチンなどが該当します。

 ③メッセンジャーRNAワクチンは、コロナウイルス対策の最優先策として全世界で普及し知られるようになりました。

 複数の解説書を見るとおおむね次のような説明がされています。

 「ウイルスのたんぱく質を作る基になる遺伝子の一部を注射。それに対する抗体などが、体内で作られることになり、ウイルスに対する免疫ができる」

 また別の解説書では、「メッセンジャーRNAとは、たんぱく質を作る設計図のこと。病原体のたんぱく質を作るための設計図(メッセンジャーRNA)を主成分としたのが、メッセンジャーRNAワクチンです。人工的に作られたメッセンジャーRNAを投与することで、体内で特定のたんぱく質が作られ、これに対する免疫(抗体)が作られます」

 ご理解いただけましたか?少しでも薬学的なことを学んだ方ならご理解できることでしょうが、多くの方にとっては難解な説明と言えることでしょう。

 そこで素人の小子にも理解できる説明が見つからないかと探し続けました。

 数多くの解説書の中で、これなら分かったような気になるなぁ、というものをご紹介します。

 「医療法人社団くじら在宅クリニック」のホームページには要約以下の説明がありました。

 *生ワクチン・・・犯人(ウイルス)そのものを、悪さをしない状態にして体の中に入れる方法

 *不活性化ワクチン・・・犯人の顔だけ(いわば死体)を体の中に入れる方法

 *メッセンジャーRNAワクチン・・・プラモデルの設計図に当たるもので、設計図を体内に入れると、設計図を基に体内でプラモデルが組み立てられます。そのプラモデルを免疫機能に覚えてもらっておくという仕組みです。

 コロナウイルスというプラモデルが体内に入ってきたら、体内で組み立てていた免疫が覚えていて、対応をしてくれる仕組みというわけです。抗体とか遺伝子という専門用語を使うことなく説明されていると思わないですか。

 医療専門家の言葉を直接電波などで発信することは、市民の理解度を超えています。メディアは市民サイドに立ち、よく咀嚼したうえで届けて欲しいです。「分かったような気がする」と「よく理解できた」では雲泥の差があります。コロナウイルスは誰もが初体験です。だからこそ分かりやすい報道が求められています。