第919話 審査員のプロフィールは?

     

11回全日本手打ちそば食べ比べ選手権大会から

 令和6年10月、第11回全日本手打ちそば食べ比べ選手権大会(主催:杉戸麺打愛好会小川道場、後援:杉戸町)が杉戸町高野農村センター(埼玉県杉戸町)で開催された。
 参加者は計32名。
 当選手権の特色は選手として参加すると同時に審査員も兼ねるところにある。先ずは32名の選手を4組に分けて、各々が杉戸産常陸秋そばを打って茹でる。  それを他の組の選手たちが視覚・風味・触味の3点から食味する。そして準決勝からは特別審査員のほし☆ひかる(江戸ソバリエ協会理事長)、平松一馬(北広島市「久蔵庵」店主)、益子正巳(ひたちなか市「満志粉」店主)、小柳明雄(ウム・ヴェルト㈱会長)、新堀直樹(杉戸町産業振興課長)の各氏が審査することになっている。
 ところで、その審査員であるが、私は審査員のプロフィールを明らかにすべきであると、拙著『小説から読み解く和食文化』などで唱えている。
 なぜなら、食味は、性別、年代別、出身地別、職歴でちがうからである。
  日本列島は、西から北へ弓なりになっているため環境的にも多様性がある。
 たとえば、この日も雑談で話題になっていたが、北海道で鰤が豊漁であることはニュースで流れているが、北海道など東・北の日本は鮭文化圏であるから、どうも慣れないという話になった。一方の西日本出身の私は、鰤文化圏の人間である。刺身は鰤を選ぶし、めでたいときは「男振り」と洒落て、鰤が贈答品になる。また最近の食品は、味覚センサーなどで調査して、地域に合った味にしていることはもう一般的傾向である。例としては多少ちがうかもしれないが、論文・エッセイでも記名・プロフィールは必要である。なぜなら書いた責任があるからだ。とすれば、審査でも選んだ責任があると考える。 
 そんなことから、当会では審査員=選手のプロフィールを書いてもらっている。   その結果が下記だ。
 【性別】男性:24名、女性:8名
 【年齢】40歳代以下:1名、50歳代:6名、60歳代:6名、70歳代:17名、80歳代以上:2名
 【出身地】北海道:4名、東北:2名、関東:24名、甲信越:1名、九州:1名
 【蕎麦歴】5年:6名、10年:10名15年:15、20年:1名
 
 なお、アンケート結果で、昨年は蕎麦歴5年以上、10年以上、15年以上、20年以上がほぼ同数であったのに、今年は5年以上が少なかった。これをどうみればよいかは実行委員会の検討課題であろう。
 さて、選手権大会の結果は、優勝小川明美様(杉戸町)、準優勝関山祐子様(苫小牧市)、努力賞鈴木博宣様(室蘭市)が選ばれた。
 審査員のプロフィールから言えば、今回は関東出身で、蕎麦歴10年から15年の、70歳代の、男性の舌が選んだ結果ということがいえなくもない。
 だから、もし女性が多かったら、若い人がいたら、西日本で行っていたら、違った結果になるのか、同じ結果なのかということが興味津々というところである。
 なお、昨年はソバリエさんが優勝したが、今年は及ばなかった。

全日本手打ちそば食べ比べ選手権大会審査委員
ほし☆ひかる

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