第324話 韓日キムジャンお祭り

     

江戸ソバリエのKさんのお誘いで、韓国大使館で開催された「韓日キムジャンお祭り」に協会のMさんと共に参加した。会場は100人を越える人、高松宮妃殿下、首相夫人や女優さんなどのお顔も見られた。
最初に、用意してある塩漬した白菜や生の小松菜などを材料にしてキムチ作りの体験をする。とはいっても、すでにキムチの元であるキムジャンが用意されているから、合わせるだけである。そうして、自分で作ったモノは持ち帰ってもいいということなので、今夕はキムチ鍋でもしようか。
キムチ作りの後は、館内ではあるけど部屋を移って、午餐の会が開催された。
テーブルに並んだ韓国料理は豪華で、楽しく美味しく頂いた。
その料理を紹介すれば、ざっとこんな具合だが、場所が大使館だけあって、以前TVで放映していた『宮廷女官チャングムの誓い』を思い出す。

韓国料理

【白菜キムチ、水キムチ、1年熟成キムジャンキムチ、オイコチュ(甘唐辛子)味噌和え、ワラビナムル、シレギ(乾燥させた大根の葉)ナムル、エホバック(韓国ズッキーニ)ナムル、椎茸ジョン、チャプチュ(雑菜)、カルビチム(牛骨付カルビ煮)、宮廷トポッキ、ポッサム(茹で豚肉の包)、イカ和え、キムジョク、1年熟成キムチチゲ、湯葉包キムチマンドゥ(キムチ餃子)、熟成キムチ入炒めご飯、枝豆入餅、ゴマ入餅、水晶果】

唐辛子断面 ☆ ほし絵

ところで、漬物は世界中で見られると思うが、とくに有名なのは、韓国のキムチ、中国のザーサイ、インドのチャツネ、イタリアのピクルス、ドイツのザウアークラウトなどであろうか。
インドのチャツネは唐辛子、生姜、酢を加え、中国の漬物は唐辛子生姜、大蒜、粒山椒を用い、韓国では唐辛子生姜や大蒜をよく使っていると聞く。
それらをあえて括れば、インド・中国・韓国は【唐辛子・生姜文化圏】と呼べなくもない。
もちろん日本人も、唐辛子・生姜・山椒・大蒜などを使うが、使っても単品、少量で、どちらかといえばわれわれはサッパリしたモノ、爽やかなモノを好み、これまでは刺激の強いモノ、匂いの強いモノをあまり好まなかった。
ただ、最近の韓流ブーム以来、激辛が日本にも広まったことはご承知の通りで、キムチ鍋もよく見られるようになった。
というわけで、日本は【唐辛子・生姜文化圏】には入らないが、代わって特徴的なのが山葵である。
韓国人・中国人が好きな唐辛子を口にしたときは「カライッ!」と顔を上げ、まるで熱湯でも浴びたように大声で叫ぶが、日本人が好きな山葵を口にすると (からい・・・)と顔を俯け、まるで寒さを我慢しているようなところがある。
韓国人と日本人は、顔も似ているし、喋る言葉の発音や文法も似ているが、唐辛子と山葵の性質にそんな相違があるところが面白い。
という風に、キムチを頂いたのを機に、薬味国民論みたいになってしまったけれど、少し言い過ぎだったかな?

〔エッセイスト、江戸ソバリエ認定委員長 ☆ ほしひかる