鮮客萬来(人間交流の社交場) {六夜}

      2016/09/27   執筆者:編集部

《外食交友語録》~仕事一途の人生観~  (肩書は当時のまま)

【24】文流・海外研修企画部〈木戸 星哲部長〉

「私どもの会社の原点は“図書を通じてイタリア文化の交流を図る”ことにあるのです。その一つの方法として“食べ物を紹介し、イタリアの本質に迫る”ための開拓をあらゆる機会を作り行っています。『イタリア料理講習会』もその一環として広く全国組織で行い、好評を得ているのです。」

「ひところから比べますと、コックさん、お客さんのイタリア料理に対する関心が非常に高まっていると感じます。当初からわが社はイタリアの国土・風俗・食生活を紹介するには『料理』を通してでなければならないと考え、研修旅行システムや料理講習会をなどを確立してきた訳です。実際的には、当社だけではなく、イタリア料理の普及を図る会社や食材の流通業者などの協力でこれまでになってきたと考えています。今後も消費者ニーズに応えたイタリア料理を紹介し、コックさんたちにもさらに勉強してもらい、共に成長していきたいと思っています。」

【25】東京都中華環衛同組〈森 光世副理事長〉

「環衛の組合活動の分野で、言わば“縁の下の力持ち”といったところが評価されて今回の『厚生大臣賞』の受賞になったものと考えています。私自身長年、中華関係の仕事に携わってきましたが、今後は様々な顧客ニーズの対応を図り、店舗開発や後継者の育成に力を入れていきたいと考えています。これからの課題としては、従来から言われていた“日本風の中華料理”ー早く言えば“目”の料理ではなく、“味”本来の料理を志向していかなければならないと提案しています。」

【26】銀座社交料飲協会事業部・「バー絵里香」店主〈中村 健二事業部長〉

「ウイスキーにはオン・ザ・ロックとか、水割りなどの飲み方がありましたが、最近の飲み方は、楽しみながら自分の個性で飲むーといった傾向が強くなりました。そのためトロピカルなアルコールの飲み方のニーズが高まってきています。私も従来からこうした個性に合ったお酒を提唱していましたし、『トロピカルコンテスト』で二年連続優勝出来たことも、その表れと見ています。」

「最近では消費者の方がいろいろなカクテルをご存じですので、バーテンダーが逆に研究しなければならないと痛感しています。あくまでもお客様のニーズを尊重し、多様化・個性化の波に乗ることが基本と考えています。また、その時々の雰囲気によって飲みたいお酒の種類が変わると思いますので、タイムリーな嗜好に合ったものを飲んでいただく、この思想を堅持していきたいと思っています。」

【27】鮒忠〈江口 春雄常務〉

「飲食店では出来ないキメ細かなところまでやれるーというのが根本であり、“仕出し”の基本と考えています。同時にお客様が今、何を求めているのかーというニーズを的確に、素早くキャッチすることが課題と捉えています。言わば家庭の主婦直結の商売と言えるのではないでしょうか。」

「私は料理の部門に対しては手を出してはいません。情が移るといけないーとも言いますが、根本はあくまでも“売る側”の立場を守りたいからです。その方が、お客様一人一人や素人の方々の意見を聞けるし、その意見を自分の頭の中でそしゃくし、それを料理する板前に直接言えるからです。」

「当社では、『仕出し弁当』一つをとってみても、工場出荷の時の状態は最高ですが、お客様が食べるのは持ち帰り後、つまり一時間後ですから、その一時間後に最高の状態で食べていただけるように“焦点”を合わせて作っています。このように『販売と料理の味』を同一のものとして捉えることに全力を上げております。」

【28】明治サンテ・オレ〈望月 卓社長〉

「新規参入の部類に入りますので、先発のFF企業との差別化、特に“味”の面での開発には力を入れております。また、従来のシンボルマークである『サンテ・オレ(太陽マーク)』を生かし、誰にでも親しまれる店になるよう、全社員が一丸となって売り込みに徹しました。その結果徐々にではありますが、成果が上がってきています。」

「従来のファストフードは、アメリカの“直訳”であった訳で、現実にはそれで伸長し、日本の消費者に受け入れられていきました。しかしこれからの方向としては、“意訳”の方に移行すると思われますので、当社としては日本人のニーズを基本に、日本ナイズした商品を作っていきたいと考えています。そうした意味からも今後主導的役割を果たすのは、小回りの利く小売店によるものと捉えています。その意識で頑張っていきます。」

【29】グルメ〈菅野 敦次社長〉

「サンドウィッチは、言わば洋風の料理です。このサンドウィッチ料理を召し上がってもらうには、おいしい料理で、サービスが良く、ゆったりした雰囲気の中での食事ということになります。味に厳しいお客さんに満足してもらうためには、おざなりなものを作ってはいけない。その意味で、レストラン業というのは、まじめにコツコツと一人一人のお客さんに誠意を持って当たることが大切だと思います。」

【30】美味小家〈村井 敏彦社長〉

「私自身フランス料理を23年間やってきて感じたことは、“心を込めたお値打ち品”を提供していくということです。また、コックは調理場の中だけで仕事をすれば良いーというのではなく、直接お客さんと接し、店の経営面までも掌握できる力を養うことが大切だと感じています。幸い私どもの店では、この成果が徐々に上がってきています。そのためフロアにウェイターは一人もおりません。全員がコック兼ウェイターとなっています。」

「原点としては、和食の精神である“三つの風”ー『風土・風景・風味』を主眼としています。季節感のある料理メニューと雰囲気、味を最大限に生かし、気楽に喜ばれる店づくりを考えています。ターゲットはやはり女性中心に絞っておりますが、ファミリーから男性客まで幅広い客層に恵まれています。」

「店名の由来は、本来は『馬小家』と考えましたが、あまりにも動物的なので、いろいろ考えた結果、現在の『美味小家』の屋号になりました。味わいのあるフランス料理のムードに沿っているものと自負していますし、将来は牛・豚・鶏・野菜をモチーフにした『○○小家』などの業態店を考えています。」