第613話 新年を迎えて

     

~日本に自信をもってほしい

フードボイス主催の食品連合勉強会の新年は、ここ数年私の講座から始まるようになってきた。幸い、毎年北京でフォーラムを開催しているので、その報告をするようにしている。
題名は、いつものように「日本の蕎麦は世界一北京・貴州紀行~」である。裏を返せば、蕎麦については中国から学ぶことは何もないともいえる。その一つとして今回は「日本の出汁と旨味」について話してきた。
終了後、出席者の皆様から「中・韓・日(=麺ロード)は仲良くやった方が、結局は国益になるのではないか」という声が出たがまさにその通りだと思う。
この会の新年に毎回配布される景気予測では、オリンピック後は雇用・消費・景気ともにかんばしくないと出ている。ただし、これはコンビニエンス大手7社のアンケートをもとにした予測であるから、その消費者層にかぎるということを頭に入れておかなければいけないが、一応皆さんは先行きを不安に感じているということがいえる。その解消のためにも近隣諸国との交流は大切だろう。
昔から「向こう三軒両隣」への挨拶は欠かせないのである。
続けて、懇親会の席になるが、そこではまたいろんな声があがった。「IRなんて何で政府は推進するのかね? 会社は儲かり、税金も国や自治体に入るだろうけれど、国民は潤うか、豊かになるのか?」と。国は民の働きによって豊かになるという基本を放棄し、博打で稼ごうというわけだ。
また、アイスクリーム業と不動産業を営んでいるという方が面白いことをおっしゃっていた。「どんなに偉そうな人でも、その方のお宅に伺えば(その方の不動産を見れば)、その人の人間的価値が判る。」
縷々お話を伺ったところで、皆さんは「家を買うときに話を伺っておけばよかった」と笑い、かつ残念がった。
しかしながら、彼の話はこれで終わりではない。「今や、個人の不動産の問題ではなくなってきた。住宅でいえばウォーターフロントも山の手も、マンションでいえば1階も高層階も、どちらがいいとはいえなくなってきた。不動産自体ももった方がいいのかも・・・。なぜなら、それを越える自然災害が襲ってきているからだ。これからは、街全体、地域全体・・・、地球全体の環境をどうするかが、人類の最大の課題である」と、みんなが実感していた。

 最後に一つ。フードボイスの会員で今年ソバリエになられた河邊美季さんは「皆さんに・・・」とご自分の故郷の浜松の蜜柑を段ボール2箱持参された。そして「今日は仕事で忙しいから」と慌ただしく帰られた。
彼女は、江戸ソバリエの認定式でも積極的に手伝われ、郷土そばフェスタにもスタッフとして一はやく手を上げられ、同期会立ち上げにも参加されているぐらい、その精力的な活動には舌を巻く。みんなが彼女に明日を期待しているのは確かであろう。

左:中国でお世話になった孫先生から、正月の雪の天壇の写真が送られてきた。右:ほしの天壇の絵

 

〔文 ☆ フードボイス評議員 ほしひかる