第632話 未 来 Ⅱ
2020/05/27
ひとりじゃない
☆かわいい孫
ここのところ、孫(5歳)との交流はテレビ電話である。ほんとうは直接会ってハグもしたいし、抱っこもしたいところだが、自粛生活からやむなくそうなっている。ただし私はあくまでも臨時のつもりである。
しかし、孫は3歳のころからタブレットでアニメ放映を見ていたぐらいだから慣れたものである。彼女の方からかけてくることもある。「おじいちゃん、なんか話したいことある」「うん。話したい」とか何とか、他愛もない会話をしている途中で、自分の鼻を画面に押し付けたりするから、「そんなことやったら鼻がつぶれるよ」なんて言うとキャッキャと笑いながら、面白がってまたやる。
しかし、こんなリアルでも、映像ではハグや抱っこをしたときのような感触はない。親・子・孫は顔や手足も似ているが、体付きも似ている。だから孫の抱き心地は自分の子供が幼かったときと似た感じだが、その感覚が味わえないところが寂しい。宇宙飛行士が宇宙で生活し、バーチャルで地球とコミュニケーションをとったとしても、地球に帰還したときは、かなり精神が崩れているという。それが人間というものなんだろう。だから映像コミュニケーションが一般的になった時代というのはどうだろう、とちょっと心配に思うこともある。
☆若い家族
お隣さんは、若夫婦と4歳と2歳の4人家族である。ここのところの自粛生活からご主人はテレワークだという。
午後2時ぐらいになると、パパさんと子供たちは庭に出て遊び始める。子供たちは黄色い声を上げて笑い転げ、身体中に喜びと楽しさがあふれているのがよく分る。3時になるとママさんの「おやつですよ」の声がかかって、皆さんは部屋に入る。
マンションの表に出ると、別のパパさんが幼い子(3歳)に自転車の乗り方を教えていた。それをまた乳飲み児(0歳)を抱えたママさんがニコニコしながら眺めている。
どのママさんも、愛する夫が側に居てくれるという安心から、表情は優しい。それがまた幼い子供にとっては何よりの心の栄養だ。だから心の底からの笑顔がたえない。
ある蕎麦会にママさん(ソバリエ)と一緒に参加してくれる小学生の女の子がいる。先日その子から手紙をもらったので、返事を書いた。でも小学生に手紙を書くのは初めてだったから、かなり緊張して書いた。
ママさんは「出産後3ヶ月から保育園に預けていたので、ずっと一緒にいることのできる今の時間を楽しもうと思います」とのことだった。
いま人類を襲っている新型コロナウイルスは憎い悪魔である。
しかし、若い人たちを見ていると、希望を感じるところがある。
平原綾香ではないが、「ひとりじゃない 深い胸の奥でつながってる」と歌いたくなるところだ。
孫世代の30-40年後、現在とは全く違った社会になっているだろうが、みんな幸せになってほしい♪
Jupiter
https://www.youtube.com/watch?v=V68wmhKoL58
〔文 ☆ エッセイスト ほしひかる〕
絵は孫ちやん (なかむら いちか)