第654話 未 来
2020/08/12
~「武器としての『資本論』」読-Ⅲ~
食事が終わったところで小松庵の社長が挨拶に見えた。例の「武器としての『資本論』」を推薦してくれた方だ。なので、「読後感をFVに二回も書いてくれて・・・、甲斐があった」とおっしゃってくれた。社長は、著者のように若い論客が出てきたことを歓迎されていたが、その後いろんな人に勧めたところ、若い人より、それ以上の世代の人の方が関心をもってくれた。それはたぶんマルクスの『資本論』のせいだろう。われらは読もうと読むまいと、その存在を知っているが、若い人は意味が分からないからである。しかし、それが不幸の始まりである。
ある人は「今まで私たちは政府に騙されていたのね。その政府も大企業に手玉にとられていたということがよく分かった」と述懐していた。それは新自由主義のことだが、私も同意見である。
直近の例でいえば、経団連が「Go toキャンペーン」をやれと言ったから、政府はやっているのだし、お盆移動もストップさせるなと言われているわけである。
ソバリエの畑礼子さんが「雲切仁左衛門、カッコイイわ!」とおっしゃっていたのでテレビを見てみた。悪徳商人が腹黒い老中を操っているという筋だった。でも結局は共倒れするから人気だが、ドラマだからこうなる。だけれど、現実社会は両者共に健在だ。
そんな具合で、新自由主義というのは、もはや誰のための政治か、誰のための経済かと著者は疑義を呈しているわけである。
しかし、このようなことはあるていど社会を体験していないと見えてこないところがある。だから新資本主義の中で育った若いコンビニ世代は当たり前の世界になってしまったので、状況が理解できないということになるだろう。
とにかく、その人はこの本が面白かったので二度読んで、友だちにも勧めたらしい。みんな「目から鱗」と言ってたという。
ところで、先日更科堀井の堀井社長にお会いしたら、やはりこの本を「面白いよ」と言って推薦された。
堀井社長も、新資本主義のところに関心をもたれ「これから資本主義はどうなっていくのだろう」とおっしゃっていた。
私なりの想定はもっているけれど、人様に言えるほどではない。
ただ言えることは、ソ連崩壊! 資本主義の勝利!と思っていたら、いつのまにか旧社会主義・共産主義国家は監視国家になっていたし、旧民主主義国家は新資本主義の下でポスト・デモクラシー国家になっていた。どとらも独裁主義へ向かっていたのである。
日本人は、中国・ロシア、そしてトランプの悪口を言っているが、実はわが国も変わらないのである。「安倍一強といわれる」という魔法の言葉を作り上げて忖度雰囲気を演出したりするのは、昔から独裁政治の定番手法である。となりの韓国も同様であるらしい。大統領に忠誠を誓う人だけに守られていると、あるゆる人が論評している。
わが国では水害・酷暑が続いているというのに、政府は何の対策も打っていない。「想定外」という政治的言葉に国民は納得させられているが、地質学者によれば、全て想定内のことらしい。
コロナ禍もそうである。狂った狐大臣、わけのわからないのムジナ幹事長、落ち目の穴グマ総理、とぼけた狸知事など、政界の珍獣・奇獣たちは医療に素人なのには、しゃしゃり出て、ただただ国民の生活に口を出して責任転嫁している。アナタたちのやることは、「日本をどういう国にしたいのか、するのか」であるというのに。
そして大企業は「これからは夢のリモート〇〇」と言い出しているが、これも昔のパターン通リ。開始時はよかった「夢の超特急」は今や国土乱開発を招き、「夢の原子力発電」は莫大な金喰い虫に堕ちてしまったというのに、またぞろ「夢のロボット」歓迎ムードを繰り返そうとしている。ロボツトはたかだか道具である。それを「夢の」と冠を付けるから善男善女は騙される。それより大事なことは人的資源をどうするかということも忘れ、当事者自身が酔っている。
そもそもがロボットとAIは分けて考えなければならない。NHKの高校生ロボコンぐらいならかわいいものだけれど、それは結局私たちの首を絞めることは前にも述べた通り。その点AIはちょっと違うが、話が大きすぎるので、ここでは省略する。ただAIロボットとなれば、ますます怖い。人類がは手がつけられないほどの怪獣になるだろうことは、未来小説や映画ではよくある話である。
話を戻せば、堀井社長もやはり「イギリスは美味しくない」の箇所に興味をもたれていた。ここも私と同様で、やはり食に従事していればのことである。
でも、「読Ⅱ」で述べたように、イギリスとちがって、日本の強みは江戸・京という都会の料理を守ってきたことだと思うと申上げた。
とにかく、小松社長も堀井社長も勉強して、やる気マンマン。心強いと思う。
そういえば、畑さんのお嬢さん(小2)から、動画メールとお手紙が届いた。お手紙は初めてもらったが、字がたいへん上手だった。字が上手な子たちがいると、日本はまだ大丈夫だという気がしてくる。
だからというわけではないが、何とか一緒にお蕎麦を食べる日が早くくるようにしなくてはと思う。お子さんとの約束は守らなければならない。子どもは未来だから・・・。
文・絵 ☆ エッセイスト ほしひかる
反省:珍獣を描いたつもりだったが、かわいらしくなりすぎた。