矢野経「プラスチック容器、紙、アルミ代替の動き加速」

      執筆者:編集部

矢野経済研究所は1月20付で、プラスチック容器について見解を発表した。石油資源由来のプラスチックを使用したパッケージは、製造工程および使用後の焼却処理からCO2の発生が避けられず、温室効果ガス排出という点でユーザー企業から厳しい目が向けられるようになったている。特に、食品や飲料、トイレタリーなどのコンシューマー商品を扱うブランドオーナーや、日々消費者と接するCVSなどの流通各社では、自社商品の環境に与える影響が企業イメージに直結するとして、CO2削減やリサイクルしやすい容器・包材の供給を求めている。(容器・包材のサプライヤーに対してバイオマス原料やリサイクル原料など環境配慮型素材の採用拡大)。これに伴い、従来プラスチックボトルが使用されていたシャンプーやリンスなどのトイレタリー用品、PETボトルなどは紙カートンで代替しようという動きが出てきている。一部のCVSではカウンターコーヒーのコールド飲料用カップの紙化を行っている。また、スポーツイベントでの観客に提供される飲料カップについても、試験的に水平リサイクル可能なアルミカップを採用した例もある。国内市場においては、多くの企業が「環境対応」をCSR(Corporate Social Responsibility)の一環として位置付けてはいるものの、植物由来材料や再生材料などはコストが高いこともあって、容器の採用が難しいという事情もある。しかし、世界規模での気候変動や環境汚染が問題となる中で、欧州を始めとする多くの国々のプラスチックごみの削減に向けた規制が強化されるなど、環境配慮は国際的な課題となっている。国の枠を超えた環境問題解の共有や連携、行動計画への合意が行われなか、国内で展開する容器・包材メーカー各社もこの動きと無関係ではいられない。バイオマス原料やリサイクル材などを使用した環境配慮型プラスチックの採用拡大や、パッケージの設計、素材構成の見直しによるリサイクル性の向上、プラスチック代替素材の提案など、CO2排出削減とユーザーの環境対応を後押しする取組みは容器包材メーカーが生き残る条件ともなっている。容器・包材メーカーには自社でのカーボンニュートラルに向けた取組み(Scope1+2)に止まらず、Scope3を含めたカーボンニュートラル実現を目指すべきである。それこそが食品・飲料のサプライチェーン全体の中での容器・包材メーカーの責務であり、存在価値であると考える。