健康ニュース 4月1日号 ぼた餅おはぎ、左党右党!
隣家のインテリ夫人「近所の和菓子屋さんで評判のぼた餅をお持ちしました。きっと先生にも気に入っていただけると思いますわ」
隠居中の大御所 暈 穀菜「それはありがとう。春の彼岸も過ぎたけれどもご先祖様に供えてからいただこうかね。今は一年中、ぼた餅をいただけるから右党でもある私としてはありがたいね」
隣家のインテリ夫人「先生が甘い物好きということをあまり知らない方が多いようですよ。飲兵衛ということは大評判ですが・・・」
隠居中の大御所 暈 穀菜「まぁそんなことはどちらでもよいね。先ほどおはぎと言わないでぼた餅と言ったよね。ということはぼた餅とおはぎの違いを知っているということだね」
隣家のインテリ夫人「母親から春のお彼岸には、ぼた餅、秋のお彼岸にはおはぎと言うと教えてもらったことがありますわ。間違っていませんよね」
隠居中の大御所 暈 穀菜「良い家庭で育ったのだね。では一つ質問だが、今は一年中、ぼた餅やおはぎを売っているよね。夏のぼた餅や冬のおはぎを何というか知っているかな?」
隣家のインテリ夫人「確か以前お聞きしたことがありますわ。掛詞で、え~っと・・・」
隠居中の大御所 暈 穀菜「まぁ聞いたことがあるという記憶があるだけでも良いけれどもね・・・」
隣家のインテリ夫人「思い出しました!夏は夜船(よふね)、夏の夕涼みは楽しく、港にもう着いちゃったのというのと、おはぎを搗くという掛詞。冬は確か、北窓(きたまど)で、北の窓からお月様は見えない、つまり月知らずと搗き知らずの掛詞でしょう!」
隠居中の大御所 暈 穀菜「良くできました!では質問だが、先ほどワシは右党と言ったよね。甘いもの好きを何故右党というのかな?」
隣家のインテリ夫人「え~っ、考えたこともありませんわ」
隠居中の大御所 暈 穀菜「では言っておこうかね。最初になぜ飲兵衛のことを左党というのかを説明しておこう。大工さんは右に槌を、左にノミをもって仕事をすることは分かるよね。この時の左手をノミ手と言っていたのだが、このノミを飲みと結びつけて、酒飲みを左党と言い始めたのだよ」
隣家のインテリ夫人「分かりやすい話ですね!」
隠居中の大御所 暈 穀菜「だったらもう分かったかな。その反意語として飲めない人を右党と言い始めたのだね。昔の人もしゃれを生活にうまく入れ込んでいたわけだな」
隣家のインテリ夫人「そうですね。一つ質問です。が、お酒を飲めない人を下戸(げこ)というのはどんな理由があるのですか?」
隠居中の大御所 暈 穀菜「それは良い質問だね。語源には諸説あるが、秦の始皇帝の時代、万里の長城には上戸と言われる寒い地域があり、そこを守る兵士に体を温めるために酒が配られた。一方下戸と言われる人の往来の激しい地区を守る兵士には、疲労回復目的に甘いものが配られたという説がある。以来下戸は、酒よりも甘いものを好む人を意味しているようになったようだね。ほかの説として、日本で律令制がひかれた奈良時代、青年男子の一家における人数によって階級が定められていた。成年男子が3人以下の場合を下戸と言い、収める税金が少なかったが、その分婚礼の時にもらえる酒の量も少なかった、と言われている。転じてあまり飲めない人を下戸というようになったという説だな。こう考えると、普段何気なく使っている言葉一つ一つには深い意味があるのだよね。今日は酒に絡む話ばかりだね。冷酒の話も聞いて欲しいな。そうだ、飲みながら話そう!準備を頼むよ」