キリン「PET分解酵素の産業応用に向け共同研究」開始

      2022/01/20   執筆者:motoe

キリンホールディングス(社長:磯崎功典 以下キリン)のキリン中央研究所(所長:吉田有人)、静岡大学(学長:日詰一幸)および自然科学研究機構(機構長:小森彰夫、以下NINS)は、2022年1月より酵素によるPETリサイクル技術の確立に向けた共同研究を開始すると発表した。近年、プラスチックの問題が注視されている中、容器包装資源が循環する持続可能な仕組みを作っていくことは喫緊の課題で、解決策としてケミカルリサイクル技術への関心が高まっている。ケミカルリサイクル技術とは、廃ペットボトルを選別、粉砕、洗浄して汚れや異物を取り除いた上で化学分解処理を行い、PETの中間原料まで分解、精製したものを再びPETに合成する方法で、最近では、“分解”の工程で酵素を用いる「酵素分解法」が注目されている。「酵素分解法」とは、耐熱性PET分解酵素を用いてPETをモノマー分子単位まで分解する方法で、より環境負荷を下げることが可能となる。キリンは、ケミカルリサイクル技術を探索する中で、これまで培ってきた発酵技術を活用した「酵素分解法」の確立を目指し、2019年より耐熱性PET分解酵素である「PET2」の研究開発を進めてきた。また、静岡大学およびNINSでは、2021年7月に「PET2」を改変することで、熱安定性とPET分解活性が大幅に向上した研究成果を発表していることから、三者は、それぞれの知見を持ち合うことで、PET分解酵素の実用化に向けた研究開発を加速できると考え、このたび共同研究を開始するに至ったという。