第794話 越沢三角蕎麦を食べる
~ 蕎麦生産者を応援する ~
江戸ソバリエ協会では、蕎麦屋さんに行きましょう、蕎麦の食べ歩きをしましょうと仲間に声をかけています。
理由は、蕎麦の生産者や蕎麦屋さんなど専門家がいなくなれば、蕎麦文化は持続しないという考え方からです。
生産者と蕎麦屋さんを応援する会の名で「新・ごちそう帳」シリーズを展開しているのもそんな考えからです。
しかし生産者さんへの直接の応援というのはそう簡単ではありません。いろんな課題があります。
そんなとき、ソバリエの小池ともこさんと齋藤利恵さんが、山形の三角蕎麦の農家さんが東十条の「一東菴」さんに見えるので、一緒に行きませんかと誘ってくれました。
お二人は5年位前に鶴岡市越沢へ行って三角蕎麦を食べたところ美味しかったので、東京の蕎麦屋さんにすすめてみました。何しろ小池さんらはいつも笑顔で、そしていい意味でまっしぐらの人ですから、一東菴、菊谷、ら・すとらあださんなど名うての蕎麦屋さんが購入してくれたのです。
その御礼の意味もあって農家さん3名と鶴岡市の職員の方1名の計4名の方がお見えになったというわけです。
お会いすると、彼らは目を輝かせ、にこにこして越沢三角蕎麦について話されました。
越沢集落のわれわれが途絶えようとしていた三角蕎麦に取り組んだのは、2016年に山形大学農学部の江頭教授らによって在来作物として確認されてからです。それから、生産農家数は、2人から13人に増え、作付面積は、0.9haから10.2haになり、収穫量は、昨年は約4600㎏までになりました。越沢三角蕎麦は、ナッツのような風味で味が濃くて美味しいです。
確かに、そうです。それが一東菴の吉川さんの手にかかると、さらにナッツの風味がました蕎麦掻、蕎麦切になるのです。とくに蕎麦掻なんかは口にする前からプンプンとナッツの香りが立っています。
蕎麦好きは、このナッツの風味に弱いのです。啜ると「あ~」と幸せを感じます。そして吉川さんは、蕎麦の名工か、芸術家だ、といつも感動するのです。
〔江戸ソバリエ協会
ほし☆ひかる〕