キリン「3D培養ヒト皮膚モデル」作製
執筆者:motoe
キリンホールディングス(社長COO:南方健志)のキリン中央研究所(所長:矢島宏昭)は、ファンケル(社長:島田和幸)と順天堂大学大学院医学研究科・環境医学研究所(所長:髙森建二)との共同研究講座「抗老化皮膚医学研究講座」に参画し、ヒトのiPS細胞から炎症応答を制御する免疫細胞「マクロファージ」に安定的に分化させる方法を確立。また、ヒトiPS細胞由来のマクロファージを組み込んだ3D培養ヒト皮膚モデルを世界で初めて作製し、炎症性刺激を与えたときに3D培養ヒト皮膚モデル内のマクロファージが応答することも確認された。同研究は、ファンケルと順天堂大学が2018年6月から進めていた共同研究講座「抗老化皮膚医学研究講座」に、キリン中央研究所が2021年6月から参画したもの。皮膚はさまざまな外部刺激から私たちの身体を守る防御器官である一方、日常の外的・内的ストレスにより皮膚がダメージを受け続けると慢性的な炎症状態となり、皮膚の立体構造が壊れ、外部刺激から防御する皮膚のバリア機能が低下するなどの現象が起こり、その結果、乾燥肌やかゆみなどのさまざまな皮膚トラブルが発生する。特に、老化やアレルギーなど昨今増えている皮膚トラブルには炎症状態が深く関わっており、炎症により皮膚の立体構造が壊れ、皮膚本来の機能が失われるメカニズムを解明することは、炎症状態を改善し、皮膚トラブルに対処する方法を見いだすことにつながりるため、立体構造を持つ3D培養ヒト皮膚モデルを使い、炎症状態を再現することが皮膚科学研究業界において強く求められてきたものである。なお、同研究成果は9月4日~9月7日にポルトガルで開催された第53回欧州研究皮膚科学会(European Society for Dermatological Research)で発表された。