第587話《東京野菜の冷掛》
~ 深大寺そば、江戸東京野菜登録記念 ~
深大寺で第9回夏そばを味わう会が開かれた。
この日は献そば式も行われる。これは江戸ソバリエ石臼の会によって行われるが、そば守観音様と本堂のご本尊様におそばを献上するわけである。
その後に、夏そばを味わうことになっている。
そばは、志布志の夏そばとタスマニア産・・・・正確にいえばオーストラリアはいま秋だから新そばということになるが、夏の日本に持ってくれば夏そばといえなくもないだろう。
今年は深大寺そばが江戸東京野菜に登録されたので、その記念としての会だったので、ちなんで東京産の食材で考えようということになった。
そこで献立は、江戸ソバリエ&江戸東京野菜コンシェルジュ&深大寺そば学院生の高野美子さまに考えてもらうことにした。。
彼女が提案した献立の一つは、《新南瓜の窯焼玉子 新宿内藤唐辛子掛け》だった。
ホクホクの西洋南瓜とは異なる和南瓜だから卵焼きと合っていた。それにアクセントとして内藤唐辛子の七味が振り掛けられていた。
余談だけれど、西洋南瓜一個を半分に切って種をくり抜き、電子レンジでチンして、そこにアイスクリームを入れると、ホクホクの南瓜とアイスクリームがよく合って、とても美味しいデザートになる。とくに子どもたちに食べさせたとき、スプーンを回しながら「もっと頂戴」のコールが続いたものだった。
子どもの話はさておいて大人に受けた今日の逸品は《東京野菜の冷掛》だった。
深大寺蕎麦萌・馬込半白胡瓜・調布産茗荷・紫芽・地場産大根・東京独活などの江戸東京野菜や地場野菜を細く切ってあるのを和えて食べる。
そばはタスマニア産、打ったのは石臼の会の皆さん、細切りのそばと細切りの東京野菜が涼し気だ。そこに薄く帯のように切ってある半白胡瓜が舞うように添えてあるところが、アクセントになっている。
夏そばの会としては、これにまさる逸品はないだろう。
〔文・写真 ☆ 深大寺そば学院 學監 ほしひかる〕