はじめまして 初登場します根本三千夫と申します。

      2022/03/22  

今月から、フードボイスアカデミーに初登場にて投稿させて頂きます。

3月8日(火)「情報交流と勉強会」にて基調講演をさせて頂きました根本三千夫と申します。  

最近は、「SDGs」とうい言葉/文字を見聞きしない日がないと言っても過言でないくらい、我々の生活に入り込んで来ています。そこで、先日の基調講演でオーディエンスの皆様からのご意見で、感心の高さを知り、このコラムにて、SDGsについてわかりやすく解説させて頂きたいと思います。

SDGsとは、“Sustainable Development Goals”の略で、「持続可能な開発」と日本語で訳されています。今回は、17の目標の全体像を知る前に、SDGsが誕生する経緯としての概要を小職の専門分野でありますISO14001等マネジメントシステムをベースにお伝えします。その内容をご理解頂ける内容よして、小職の所属する社内で、以前投稿した記事をご紹介させて頂きます。少し堅い内容ですが、お付き合い頂き、ご参考になれば幸いです。次回から、それらの目標の概要をお伝えし、一つひとつの目標に関してお話をしていきたいと思います。

【2019年12月9日付サラヤ社長メッセージへの投稿より(一部略)根本三千夫】

2015年以降、パリ協定・SDGsの採択、そしてESG投資の拡大など企業を取り巻く情勢が急激に変化しています。今年は、とりわけ多くの企業が、サステナビリティの考え方をベースにSDGsを取組み始めています。サラヤは、すでに世界の「衛生・環境・健康」の向上に貢献すると言う社会に対してのミッションを果たしながら、経営を行っています。

そのツールとして有用なシステムが、ISO14001で、SDGsの実現を果たす役割を担うと考えます。サラヤでは、2017年4月1日より、TQM(Total Quality Management:総合的品質保証システム)を立ち上げ、QMS活動をそれに取り込み活動を行ってきました。そして今年はEMSもまたSDGsもTQMの枠組みで取り込み、統合・一元化し、運用しています。

SDGsとISO14001との目指す方向、関わりは大きく、知っているつもりでも、よくわからない人が多いのではないでしょうか。では、サステナビリティ推進を進める上で、取り組むSDGsの実践ツールでるISO14001について、その経緯をこの社長メッセージの場をお借りして、振り返りたいと思います。少し長文になりますが、ご理解頂き、SDGsの目標達成に向けて、参考にして頂ければ幸いです。

「地球環境問題からSDGsへ」

~ ISO14001制定の経緯から環境マネジメントシステムについて考える ~

 ISO14001制定の経緯について

ISO14001規格は、1992年6月、リオデジャネイロ・ブラジルで開催された「国連環境開発会議(UNCED:地球サミット)」を契機として作成された事実は有名ですが、実は、その20年前、1972年に「地球の限りある資源で人類が限りなく成長していったら、どうなる?」・・・それをコンピューター・モデルでシミュレートし、全世界に衝撃を与えた問題の書、“成長の限界(Limits to Growth)”が出たのがこの年です。

同書は、国際シンクタンクである「ローマクラブ」の委嘱で調査し、纏めた書物であります。1972年6月、「かけがえのない地球」をスローガンに、ストックホルム・スエーデンで「国連人間環境会議」が開催され、そこで、「人間環境宣言」が採択されています。スエーデンでは、最も早くから環境問題(酸性雨、環境汚染等)が顕在化しており、開催地にされたと言われています。

1987年、環境と開発に関する世界委員会が、「持続可能な開発(Sustainable Development)」を提唱。1990年、地球サミットの準備を進める国連からの呼びかけで組織されたBCSD(Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための経済人会議 後にWBCSD)が設立され、企業の地球環境取組みに関する国際規格の作成依頼が、ISOに対して行われました。翌、1991年SAGE(Strategic Advisory Groupon Environment:環境に関する戦略諮問グループ)が編成されています。そして、上述の「国連環境開発会議(地球サミット)」が1992年に開催され、21世紀の地球を救うための「アジェンダ21」(持続可能な開発のための具体的行動計画)が、採択されました。またほかに、「森林原則声明」も採択され、気候変動枠組み条約、生物多様性条約の署名が開始されています。これを受けて、ISOでも環境に関する国際規格を作成することが決定されて、1996年ISO14000sが制定された訳です。

地球サミットから10年後、2002年には、「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)」が、さらに、10年後の2010年、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催され、持続可能な開発に対する国際的な議論が進められてきました。ISO14001の原案作成にあたっては、1994年に英国BS7750規格が改正され、ISO9001:1994が制定しており、9001と、EC規制のEMASが参考にされました。

各国の法規制(値)を順守しつつ、環境負荷となる有害な環境側面を低減させ、環境にやさしい有益な環境側面を目標にして、達成させるためのシステム(仕組み)を構築する規格が誕生しました。

1987年に「持続可能な開発(Sustainable Development)」の概念が提唱され、その概念がSDGs(Sustainable Development Goals)に引き継がれてきています。それは、ビジネスチャンスとして捉え、企業価値向上に繋げることも可能な時代となったことを意味します。

地球環境問題について

公害から地球環境問題へ

オゾン層の破壊、地球温暖化など「9つの地球環境問題」にみられるように、現在、地球環境保全の観点から、深刻な状況であることは、誰もが理解されていることです。人口増大、人類による利便性と快適性へのあくなき追求等ほか様々な原因が考えられますが、20世紀に入り、今日まで、世界の人口は約4倍、エネルギー消費は約9倍、世界総生産(GWP)は、約15倍にも膨れあがりました。

(国連人口部:World population Prospects:The 2004 Revision   文部科学省、科学技術白書(平成12年版):IEA「Word energy Outlook 2002」  Angus Maddison 「Monitoring the World Economy 1820-1992」(OECD) 総務省「世界の統計 2006」より)

1950年代~1980年代前半は、生産活動が中心の、地域限定の産業公害の時代でした。1980年代後半からは、環境汚染が広域化して、時間的、空間的に広がりをみせ、地球環境問題へと拡大していきました。

「日本の4大公害」

①イタイタイ病:富山県神通川流域/原因:カドミウム

②水俣病:熊本県水俣市不知火海沿岸地域/原因:メチル水銀

③新潟水俣病:新潟県阿賀野川流域/原因:メチル水銀

④四日市公害:三重県四日市市石油コンビナート地域/原因:硫黄酸化物

9つの地球環境問題

環境省は、地球環境問題として、①オゾン層の破壊、②地球温暖化、③酸性雨、④熱帯林の現象、⑤砂漠化、⑥開発途上国の公害問題、⑦野生生物種の減少、⑧海洋汚染、⑨有害廃棄物の越境移動の9つの現象を取り上げています。そして、地球環境問題に共通する性格を長い時間かけて進むプロセスで結果として、広範囲で多様な被害や損害が生じること、また、個々の問題が環境や世界経済の網の目を通じて相互に結びつきをもっており、一つの問題群を形成していることであると分析しています。

地球環境問題は、人間活動のほか、複雑な因果関係が、密接に関係しており、結果「生物多様性」に行き着くことを、「地球環境問題の相互関係」(環境省:平成2年版環境白書)は、示しています。

 

 

 

環境保全・環境負荷低減活動全般に関する活動ついては、グリーン購入、3Rなどがあり、制度化され、行政や民間による支援が行われています。サラヤも深く関わり、支援しています。

企業、団体、組織などは、個別にこの対応を図るべく、環境マネジメントシステム(EMS)の導入を行い、対策に繋げて対応してきました。しかし、多くの企業等は、従来の公害防止型のみの環境活動をEMSの活動として、そのまま「紙・ゴミ・電気」削減の対応から脱却せず、形骸化したEMSを実施していました。外部・内部の状況が、大きく変化しているにも拘わらず・・・。

しかし、環境問題への対策を好機と捉えて、環境ビジネスが生まれてきました。そして、環境ビジネスに取組む企業は、SDGsの目標に向かって、導入を始め、具体的なビジネス戦略や事業計画を策定して、実践していることは、これまでに無いスピードで、変化しています。

当社も、「第1回ジャパンSDGsアワード」受賞企業として、更なる継続的な改善を図り、全社での取組みを徹底させるべく、TQMの目標管理にプラグインして、真のSDGs推進企業として、活動している体制整備を本年、実施してきました。

●SDGsの特徴

SDGsはこれまでの国際目標と異なり大きな特徴があります。一つは、途上国に限らず先進国を含む全ての国に目標が適用されるというユニバーサリティで、MDGsと比較すると、先進国が自らの国内で取り組まなければならない課題が増えている事です。二つ目は、包括的な目標を示すと同時に、各々の目標は相互に関連する事が強調されており、分野横断的なアプローチが必要なことです。三つ目は、前述に記した「2010年開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)」において示された、「環境、経済、社会の3本柱」の概念が、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」及び「SDGs」において明確に打ち出されていることも挙げられます。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の序文では、「持続可能な開発を、経済、社会及び環境というその三つの側面において、バランスがとれ統合された形で達成することにコミットしている」と明記されています。この経済、社会及び環境というその三つの側面において、バランスがとれ統合された形で達成するという考え方は、ISO14001:2015序文0.1背景にも、「将来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすために、環境、社会及び経済のバランスを実現することが不可欠であると考えられている。到達点としての持続可能な開発は、持続可能性のこの“3本柱”のバランスで取ることによって達成される」と、また、序文0.2環境マネジメントシステムの狙いにおいて、「この規格の目的は、社会経済的ニーズとバランスをとりながら、環境を保護し、変化する環境状態に対応するための枠組みを組織に提供することである。」と明記されており、SDGsとISO14001:2015とは、目指すべき方向性と基本的に同じであるということが、ここからも窺えます。

開発アジェンダの節目の年、2015年の9月25日-27日、国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。)

サラヤでの取組み

上記のように、SDGsはISO14001:2015と深く関わっており、SDGsを推進する上で、そのマネジメントシステムを活用することは、大変有用と考えています。サラヤにおいては、サステナビリティ(持続可能性)を経営上の大きな課題の一つとして位置付け、サステナビリティを実現すべく、その方向性を検証し、達成度を図る指標として、SDGsに関連する目標設定を行ってきました。

また、サステナビリティ達成に向けた重要課題(マテリアリティ)の決定、その重要課題への取り組み計画を策定し、全社的な活動として、取り組もうとしています。これまでも当然、サステナビリティへの取り組みは、事業戦略と密接に関連させて、取り組んできました。

戦略レベルの意思決定は、ISO14001:2015での新たな要求事項である、「4.1組織及びその状況の理解」、「4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解」、「6.1リスク及び機会への取り組み」に関連するプロセスに該当し、組織の環境マネジメントシステム(EMS)全体を考えれば、戦略的な意思決定プロセスも組織の環境マネジメントシステムの中に含まれることとなります。

すでにサラヤでは、品質マネジメントシステム(QMS)であるISO9001:2015を顧客指向、科学的方法、全員参加により、変化に対応し、変化できる組織能力を獲得する方法論である「TQM」で実現を果たすべく、運用していますが、SDGsもまたISO14001:2015も同様に、TQMの枠組みで実現させようとしています。

いわゆるTQMをフレームワークとしたサラヤ総合マネジメントシステム(SUMS:Saraya Unified Management System)でシステム運用し、経営目標の達成を図ろうとしています。

経営者、管理者が行う業務がマネジメントでありますが、それはより良い組織を目指すための「KAIZEN」活動であり、それぞれの業務をシステム化(体系化し、組織的に実践)しなければ、効果的かつ効率的な運用に繫がりません。そのマネジメントシステム運用ツールであるTQMの有効性を内部監査で検証すべく今年は、ガバナンス強化のための内部監査の充実を図ってきました。

具体的には、内部監査員の専門性向上、監査技術の向上等内部監査員の力量向上ための教育・訓練に力を入れ、費用をかけてきました。システム構築及び維持運用が、組織の負担となることは当然の事実ですが、それを上回る利益が得られることができるのもシステム化であります。

最後に、企業を取り巻く環境の変化が激しい時こそ、マネジメントシステムを事業活動の中で上手く活用することができれば、そのシステムは大変有効に機能すると考えます。

                                          以上