第88話 浅草の空の下〈かしわ南ばん〉は香る
蕎人伝⑦永井荷風 毎日のように定刻に現われ、定席に座って、定番の〈かしわ南ばん〉を食べて、きっかり80と5円(かしわ南蛮=85円だった)を卓に置いて帰って行く。 雷門通り尾張屋4代目の女将登美子さんが嫁いできたと…
蕎人伝⑦永井荷風 毎日のように定刻に現われ、定席に座って、定番の〈かしわ南ばん〉を食べて、きっかり80と5円(かしわ南蛮=85円だった)を卓に置いて帰って行く。 雷門通り尾張屋4代目の女将登美子さんが嫁いできたと…
蕎人伝⑥安藤広重 展示場の右の壁に『木曾街道六拾九次』が、左の壁には浮世絵『東海道五十三次』が所狭しと飾ってあった。この絵は全て、広重コレクター・望月義也さんの所蔵品である。 一般に、『東海道五十三次』『木曾街道…
老舗にみる暖簾のタイプ これまで巡ってきた砂場、更科、藪、一茶庵をもう一度振り返ってみよう。 先ず砂場であるが、いちおう砂場には南千住砂場(長岡家) という本家があり、そのなかから虎の門砂場(稲垣家)、室町砂場…
☆青磁の潤い 白磁の輝き 好きな者は好きな物を見ただけで胸がどきどきする。 戸栗美術館の階段を上がっていった2階のすぐの部屋に、青磁に花を描いてある皿が飾ってあった。「きれいだ!」と私は目を奪われてしまった。…
JR渋谷駅から井の頭線へ向かう広い連絡通路に、岡本太郎(明治44年~平成8年)が昭和44年に制作した巨大壁画が飾られてある。題名は「明日の神話」という。横30㍍、縦5.5㍍、あまりにも大き過ぎるため絵というよりか、…
久しぶりにゴッホの「ひまわり」を見てきた。 1889年の画だというのに今も生々しい色をしている。そして渦巻くような黄色はまるで炎である。この生命力にあふれる色彩こそが〝ゴッホ〟であるが、ゴッホは生き生きした色彩を…
古書店は普通の本屋さんとはちがう空気の匂いがする。それはタイムスリップした時間の匂いかもしれないと思ったりするが、言い過ぎだろうか。 とある日、神田神保町の古本屋街でロマン・ロランの『ミレー』(岩波文庫)を購入し…
「江戸ソバリエ」誕生(九) 蕎人伝 ⑤酒井抱一 ☆新蕎麦 新蕎麦はいい。どこが良いかと問われれば食感に若さがあるところだろう。 「新蕎麦の かけ札早し 呼子鳥」 これは酒井抱一(1761- 1829)の句で…