第92話「天城越え♪」
「葉がつやつやしい青の山葵を、背負い枠一ぱいに負って、山から裸馬を走らせて来る彼女は、緑の朝風だった。」 川端康成の小説『温泉宿』の一節である。若くて野性的な女(お滝)を「緑の朝風」と表現し、山葵の清冽さと重ね合…
「葉がつやつやしい青の山葵を、背負い枠一ぱいに負って、山から裸馬を走らせて来る彼女は、緑の朝風だった。」 川端康成の小説『温泉宿』の一節である。若くて野性的な女(お滝)を「緑の朝風」と表現し、山葵の清冽さと重ね合…
蕎人伝⑧与謝蕪村 「蕪村居」という粋な名前の店がある。江戸ソバリエさんが開いた小岩の蕎麦屋である。いつかその店に行った帰り、総武線の駅から見る西の空がオレンジ色に輝いていたことがあった。 「菜の花や 月は東に 日…
「冨士には月見草がよく似合う」。 太宰治の名言に誘われてついつい下手な絵を描いてしまった。 【冨嶽百景☆ほしひかる絵】 そんなとき、幹書房の社長さんから山梨のワインを取材しないかと声をかけていただいた。 …
お国そば物語⑤祖谷蕎麦 ☆祖谷の粉ひき唄 祖谷のかずらばしゃ 蜘蛛のゆの如く 風も吹かんのに ゆらゆらと 吹かんのに 吹かんのに 風も 風も吹かんのに ゆらゆらと ♪ …
蕎人伝⑦永井荷風 毎日のように定刻に現われ、定席に座って、定番の〈かしわ南ばん〉を食べて、きっかり80と5円(かしわ南蛮=85円だった)を卓に置いて帰って行く。 雷門通り尾張屋4代目の女将登美子さんが嫁いできたと…
蕎人伝⑥安藤広重 展示場の右の壁に『木曾街道六拾九次』が、左の壁には浮世絵『東海道五十三次』が所狭しと飾ってあった。この絵は全て、広重コレクター・望月義也さんの所蔵品である。 一般に、『東海道五十三次』『木曾街道…
老舗にみる暖簾のタイプ これまで巡ってきた砂場、更科、藪、一茶庵をもう一度振り返ってみよう。 先ず砂場であるが、いちおう砂場には南千住砂場(長岡家) という本家があり、そのなかから虎の門砂場(稲垣家)、室町砂場…
☆青磁の潤い 白磁の輝き 好きな者は好きな物を見ただけで胸がどきどきする。 戸栗美術館の階段を上がっていった2階のすぐの部屋に、青磁に花を描いてある皿が飾ってあった。「きれいだ!」と私は目を奪われてしまった。…