第221話「リストランテの夜 2」
あるとくべつな夜に、あるとくべつな女性と、青山のとある高級なイタリア料理店に行って、夕食をともにした。 この意味あり気な書き出しは村上春樹さんの「リストランテの夜」というエッセイである。 客は自分たちと若い…
あるとくべつな夜に、あるとくべつな女性と、青山のとある高級なイタリア料理店に行って、夕食をともにした。 この意味あり気な書き出しは村上春樹さんの「リストランテの夜」というエッセイである。 客は自分たちと若い…
『江戸名所図会』―「深大寺蕎麦」 ―――「オーイッ」と呼わって船頭さんは大きな口をあいた。晩成先生は莞爾とした。「今行くよーッ」と思わず返辞をしようとした。 絵を見ることが好きな私は、ときどき絵画に関する読物に目…
食の思想家たち二十、新渡戸稲造 東日本大震災の被災者の方々と接していると、近親者、自宅、あるいは故郷を失うということは深い悲しみとともに心を虚にしてしまうものだということを痛感する。しかしながら、われわれはこうした喪…
ここは埼玉県の北部に位置する杉戸町、江戸時代は日光街道五番目の「杉戸宿」といった。 この町で蕎麦打を教える安田武司さん(彩蕎庵)はこれまで数々の名人位を獲得してきた。そんな彼が蕎麦打仲間の小川伊七さん(小川道場)…
お国そば物語⑱ 「全国ご当地そば祭りinすぎと」で会津の長谷川徹さんが「会津蕎麦口上」をご披露された。徹さんは父親の吉勝さんから教わったという。 蕎麦口上というものがいつから始められたかは知らないが、代々の伝承と…
~ 江戸蕎麦料理「秋の章」 ~ 江戸ソバリエ、ほしひかる、江戸蕎麦、江戸蕎麦学、脳学レポート、舌学ノート、手学、耳学、みんな新しく考えた造語である。 名は体を表すではないけれど、中身に相応しい名前をつけるのは楽し…
ある朗読会に参加した。自分の作品を読んでいただくということだったが、その前に幾つかの練習があった。 一つは、発声練習。二つは声が届く練習。三つは勘の練習だった。 一番目は、大きく口を開けてハッキリ発音する。こ…
季蕎麦めぐり(十四) 「ごーん・ごーん・ゴーン♪」 午後五時、深大寺の鐘の音が流れてくる。 「門前」の店主・浅田さんによれば、子供のころから聞きなれたこの鐘の音の三つ目が〝時の鐘〟だという。朝は六時、昼は十一時…
《 蕎麦膳 》十四 梅棹忠夫の『知的生産の技術』という新書がベストセラーになった昭和44年ごろ、何でも彼でも「知的」という冠がついていたことがあった。 しかし、林幸子先生の今日の料理 《早稲田茗荷御膳》は、文句なく…
お国そば物語⑰ 穀類を粉にするには臼が欠かせない。その臼には、杵で搗いて潰す「搗臼」と、石臼と石臼を磨って粉にする「碾臼」があり、漢字も分けて使う。 搗臼は「臼」「碓」と記し、碾臼は「碾」「磑」で表すのが基本であ…